松平家(徳川家)スタートは転生チート使っていても難易度は高いようです…

@reitesia

第1話 目覚めて見たら…

これは科学は未来、歴史は過去の不思議世界の物語


 セルロースナノファイバー技術の発達は既存の戦術と兵器を陳腐化して魔装甲冑という革新的な鎧を生み出した、強力な鎧は従来の銃撃による攻撃に頼る戦いを変えてしまう、さらに初期は扱うことの出来る者が限られたために武士という階級を生み出した。武士階級は商人型、公家型、農業型、寺社型、漁業型などが生まれた。


 ※魔装甲冑は鉄の五倍の強度、鉄の七分の一の重量、着用時はパワースーツを着ることで能力を向上させる。さらにナノマシンを操作することも可能で従来では考えられなかった戦闘能力を発揮する一方で初期は高価かつ扱い難いものであった。


 ※ナノマシンは地球上の全てに拡散されていた。世界中に情報革命をもたらしたが直後から世界中で国及び個人による電波妨害が行われるようになった。代わりにウランに作用するナノマシンが作られて核兵器が無力化された。


 ※一番影響を受けたのは航空機と言われている。一時期は空から輸送機とヘリコプター以外は消滅するほど姿を消した。(しかも性能の向上もあり、レシプロ機が主体となる。)


 地球全土が連鎖的に内戦に突入する。核兵器は世界中に飛び散っていたナノマシンにより無力化されてしまい使用されずに済んだ一方で内戦の勢いを止める抑止力を失ったことで世界は混沌に包まれた。


 日本では武士を中心とする武家政権が成立した。武家政権は農業型の武士主体で作られたことが災いして他の武士階級を刺激した。


 セルロースナノファイバー技術で作られる製品の材料で最も効率が良かったのが木材ということもあり、地方勢力の発達を促した、そして鎌倉幕府が悪政により弱体化すると後醍醐天皇が決起したことによって滅ぼされると西日本を中心とした室町幕府が成立する。


 幕府は『くじ引き将軍』足利義教によって東日本を制圧して全国制覇を達成、さらに比叡山焼き討ち、強力な大名統制による独裁政治で日本の絶対王政を作り出す、混乱していた世界も徐々に回復して貿易が回復した。


 日本は平和になると誰もが考えたが…足利義教の突然の死をきっかけに再び争いの芽が吹き荒れる。それが頂点に達して起きたのが応仁の乱の勃発という形になる。


 防御シールド開発と小型化が成功し、簡易版の魔装甲冑の開発は足軽という低級の武士階級を生み出した。同時に足軽に対抗する歩兵の重要性も再確認され、応仁の乱は、それまでの固定されていた階級社会を壊した。


 ※階級社会とはいえ、実は学校があり、武士に一般人もなる抜け道が沢山あったため実は中世のような世界では無く、むしろ現代よりも平等性が反って存在する世界となった。



 応仁の乱は一説には流れてくる食料難民を戦で消耗させるために地方大名が大規模動員をしたから大きな争いになったと言われている。


 応仁の乱により、都心部の荒廃は決定的となり、人口は激減した。特に東京、大阪、福岡、は酷い被害を受けて人口が大幅に流出した。東京は最盛期の人口の三割以下まで低下した。全国的にも人口は減る。


 応仁の乱の効果は中央の弱体化だけでは無く、階級支配の弱体化と上位階級への挑戦という下剋上を可能にしていくことになる。


 最初は越前の朝倉家が斯波氏を追い出して戦国大名になったり、尼子が京極家を追い出したり、長尾氏が上杉家を追い出したりという風に守護大名を守護代が追い出す事件が主であった。

 守護大名の中にも力をつける大名が出てくる、有名ところで大友、今川、武田、佐竹、大内などである。それら既存の勢力から始まり、関東地域では北条早雲、東海地域では松平家、守護代家系だが分家の織田信秀、美濃の斎藤道三、中国地方の毛利家なども台頭してくるようになった。


 中央でも幕府の管領(首相)に当たる細川政権から家臣の三好長慶へと政権の長が変わるまでに発展した。これらの発展は中央における行政の一括管理体制に終焉をもたらし、半端独立状態となっていた地方行政の再統合を促すようになった。


 再統合と海外との貿易の回復や建物の撤去、養殖業に成長は再び日本の人口を増やすことに成功した。人口は半世紀過ぎたことにより、一億を超えるまでになった。


 三河松平家は戦国時代において、極めて早くから三河で力を付け始めた一族である。三河国は将軍家の直属の領地で軍隊の駐屯地という位置ずけもあり、昔から三河武士は強いと言われていた。


 今川勢が後の北条早雲に率いられて三河を攻めた時に松平家の主家筋だった岩津松平家が指導力を発揮できずにいるところで松平長親が松平一族をまとめ上げて僅か五百の兵力で今川軍一万を撃破するという功績を挙げた。


 こうして松平家宗家五代当主に就任した松平長親は自らの血族による松平党の支配を確立するが息子信忠が乱暴者のせいで上手くいかずに孫の清康に後を継がせる、清康は順調に三河を平定するも宿敵織田によって暗殺されてしまう。

 次の跡目を巡り、長親は息子の信定を押すも松平家臣団は広忠を押して対立する、広忠は頑張って勢力拡大を狙うが清康の死に乗じて勢いよく攻めて来た織田軍に本拠地の岡崎城近くの安祥城まで奪われてしまう。


 奪還しようとするも織田軍との戦いは熾烈を極めた幾度かの戦いの末に織田軍を破り、安祥城を取り戻すも広忠の軍事的才能の無さに失望による求心力低下を招く、その結果、松平信定が兵を率いて広忠が岡崎城を留守にしている間に岡崎城を乗っ取ってしまう。これに対して今だ健在で岡崎城二の丸で隠居していた松平長親は信定の行為に対して何ら抗議しなかったために黙認したとみなされた。


 信定の行為に対して何の対策も行動もしない広忠に家臣達は失望していても織田方に好意を寄せている雰囲気を出している信定に味方になる者は少なく、膠着状態が続いた。松平家の家臣の中には酒井忠尚や大草松平家のように松平宗家から独立しようとする勢力も現れだした。


 広忠には息子が二人いた、二人は双子として生まれて来た。片方は跡目争いを恐れて長沢松平家に養子に出した。養子に出さなかった方は竹千代と名付けられ、松平家の跡継ぎとなる。


 そして織田家との戦いで郊外へと非難していたが呼び戻される事となった、その途中で野盗に襲われた竹千代は覚醒する、そして歴史が動き出す。



 ヒューンドカーンという音がして地響きが来る、そんな音と地響きで意識が覚醒した。意識が覚醒する中で思ったことは『死後の世界に来たんだな…』という感想であった。恐ろしげな音がするので思ったことであった。目が真っ暗なので音だけの世界なのか?と考えたが…ただ単に目を開けていなかっただけであった…


 目を開けてみると見知らぬ天井が見えた…材質が木では無い、灰色の石から鉄のような物が剥き出しである。頑丈そうだが、何で出来ているのだろうか?という疑問が浮かんだ。


 次に疑問に思ったのが腹部の辺りの重さである。不思議に思って腹部の辺りを見てみると…幼い童が私の腹部に乗っかって倒れていた。『男に乗っかられる趣味は無い』と思い、この失礼な幼い童は誰だ!と思い相手の顔を見た。


 不思議なことに昔見たことのある顔だった…どこだっただろうか…いやいや……私に限って人の顔を一度見て忘れることなど無いはずだ!(人生で一度だけ……忘れたら家臣に切腹された黒歴史が蘇ってきた。)

 よく思い出すのだ!!と自分に言い聞かせて見てみると…


「仙千代?いやいや…奴とて…こんなに幼くは無いだろう!?」


 そういえば、仙千代は随分ふてぶてしい奴だった…腹に乗っている幼い童もふてぶてしい寝顔だ…


「於義丸様!!」


「誰だ!私のことを馬鹿にしているのは、叩き殺すぞ!」


 幼名を呼ばれたので反射的に言葉が出てしまった。言葉を発したと同時に相手を見ると、そこには別の幼い童がいた。こちらも仙千代と同じく若々しかったが直ぐに分かった。


「源四郎か?」


 源四郎とは私の家臣で親友である本多富正のことである。若くても仙千代以上に接していた時間は長いので直ぐに理解できた。『まぁここは死後の世界だから死んだ人間は若くなるのかもなぁ…』

 ふと疑問に思い自分の姿を見てみると確かに手の辺りとか若々しい感じがするので…自分も幼いのかもしれない…


 富正の方も状況をはっきりとは理解していないのだろう、私の名前を読んだ後は呆然と私のことを眺めている感じだった。


「竹千代様!ここにいたんですね」


 突然、別の部屋から入ってきた灰色の長髪の少女が叫んだ。この少女の服装は緑色の不思議な服装で見たことがない…いや甲冑の形をしたものを着ていた。


「いや…俺は…」


 否定しようとして考えた。死後の世界なんだから竹千代で良くね?と思ってしまった。だって…死後の世界くらいは竹千代になりたいじゃん!!


「おう、俺が竹千代だ!!」

「良かった!探していたんですよ!!突然いなくなるから…」

「お、おう、それでお主は誰なんだ?」

「はぁ?何言っているのですか!石川数正ですよ!!」

「「え!?」」


 傍で成り行きを見ていた富正も一緒に素っ頓狂な声を上げてしまった。


 だって!あの石川数正殿だよ!!俺が石川殿に会ったのは小姓の勝千代との縁があって少なくは無い、印象は強面の策士という感じだった。三河者には珍しく弁論に優れていて昔話を良く聞かせてもらった。その数正殿だと名乗る美少女!!昔から男の女体化は流行っていたが…美少女だ!!結婚してくれ!!と言いたくなる。


「いまなんと?聞き間違いかな?!」

「馬鹿にしているんですか!!」


 ヤバい!一気に雰囲気が変わって怒り顔になられた。コイツ三河者なのは間違いなさそうだ…三河者は全体的に癇癪持ちが多いからな…そして偏屈で鬱陶しさ全国ナンバーワンである。ここはとりあえず死後の世界だと自分言い聞かせて納得することにした。


「おう、そうだったな、して石川殿、私はどうすれば良い?」

「数正です!」

「いや…それはちょっと…」

「か・ず・ま・さです!!」

「数正殿!これで良いだろう?(汗)」

「殿もいりませんが!妥協しましょう。」

「そうしてくれると助かる!」

「おい、仙千代!起きんかい!!」


 いつまでも人の腹でスヤスヤと寝ている仙千代に腹が立ったので起こすことにした。


 ビシッ(叩く音)


「だれじゃい!私めを叩く不届き者は!!」

「おれじゃい!どけと言いたいのだ!!」

「…おお、於義丸じゃないか!!」


 ゴン!(ゲンコツする音)


「さて、数正殿、行こうか!」


 頭を押さえている仙千代を尻目に富正と共に数正の方に歩いて行く


「まてえい!私めを置いていくつもりか!!」

「そうだよ!早く来い!!」



 石川数正と名乗る美少女に連れられていくことになった。特に抵抗しなかったのは状況が呑み込めていないためである。また、説明してもらおうと思って付いていくことにした。


 頑丈そうな建物を降りる。建物は廃墟とはいえ五層天守閣より広く高い建物であることに驚きつつ降りていくと出入り口と思われる場所にたどり着いた。向かいにも周囲にも同じ様な建物がズラリと並んでいた。


「さぁこちらにお乗りください」


 と言われた。乗ってくれと言われた物は見たことの無い乗り物だった。


「鉄の乗り物…」

「はぁ?」


 露骨に怪訝な顔をされたので何か説明しようかとも思ったが…三河者(武骨でひねくれ者で有名)に説明しようとすると時間が無駄なので指示に従うことにした。


 乗り物のドアを富正が少し怖がりながら開いて先に奥に乗ると次に俺が乗った。


「フカフカだな!」

「はい、フカフカです…」

「おお、中々乗り心地が良いではないか!」


 三人して初めて都に来た田舎者の如く騒ぐ、前の席で数正殿が怪訝そうな表情である。美少女に睨らまれるとゾクゾクして興奮するな!


「腰に付いている端末を取って見てください」

「うん?タンマツ?…」

「それです!」


 数正殿が指さしたモノを見つけて腰から取る。端末と呼ばれた黒くて鉄で出来た珍妙なモノは何なのか分からない。しかし、適当に触ると黒い中でも透明な部分がいきなり鮮やかな色を写しだした。


「おお!まるで鏡のようだな!」

「…それは端末と言いまして…現在の松平家の状況とご自身のステータスが確認できます。」


 少し困惑気味だが数正殿が田舎者に説明するように話すてくれた。


「すてーたす?」

「はい、ご自身の強さやスキルや魔法を教えてくれます。」

「すきる?」

「スキルとは…技のようなものです」

「ほうほう?…」


 強さに技まで詳細に分かるのか…しかも、魔法まであるとは…恐るべし死後の世界!!


 端末とやらで俺のステータスを確認した。


 竹千代


 ※Sトップレベル、A超優秀、B優秀、C平均以上 D平均的 E平均以下


 武力B 統率B 敏捷B 知略C 幸運B+

 剣術B+ 武術B

 経験B


 心眼B、カリスマB、騎乗B、猛烈B+、剛毅A、

 冷静A、『剣大魂付加』 三河魂B


 解説


 基本は劣化家康、スキルもワンランクダウンが多い

 違いは家康は『癇癪』持ちである。家康に無い『剛毅』のスキルがある、冷静が家康より二ランク上である。越前松平家の祖なので越前松平家固有のスキル『剣大魂付加』が存在する。


 剣大魂は三河魂と重複しない、スキル『猛烈』の付加と攻撃力上昇効果がある。


 ※『癇癪』は松平徳川一門に『呪いのように付加されているスキル』である。これを付加されていないのは歴史的に松平清康、松平秀康、徳川吉宗、徳川慶喜くらい数える程しか癇癪持ちじゃないのがいないレベルである。



 宝具


『俺の最強の父達!!』


 特異な人生を送った秀康固有の宝具で家康、秀吉、結城春朝の固有スキル含むスキル全て及び宝具をワンランクダウンだが使用出来る。しかも三人と友好関係にある人間に対して友好関係が上方修正される。


『石田政宗』


 石田三成から貰った刀、石田三成の固有スキル含むスキル全て及び宝具をワンランクダウンで使用出来る。反家康陣営の人間との友好度が相性を含めて大幅に上昇する。


『童子切』


 切れ味抜群の刀、天下五剣の一つで超有名だが家康から与えられた刀のため秀康固有の宝具として存在している。霊的な存在を切ることができ、かつ霊的な存在を従えることができる。


「劣化家康とは酷い!」


 端末を見ながら秀康は怒りたくなる、死後の世界でも偉大な父親の尻を追いかけなければいけないらしい…なんと不運なんだ!!


『どうせなら全く関係の無い異世界に転生させて欲しかった!!!』



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