第6話 彫像愛好者。

タリュヤ。よろしく。


彫刻家。

この辺の木はとても彫りやすい。


別に。役には立ってない。と思う。

俺が好きで彫ってるだけだ。


……そうか。ナプラめ。余計なことを。


ん。その辺にあるだろ。

それ。

触ってみろよ。人間じゃないって。

だろ。当たり前じゃないか。木だよ。


……なに。ああ。

俺は自分がネジが外れてることを知ってるよ。

その点はナプラと同じかな。


ほら、ナプラも冷静に舐めさせろとか言うだろ。

俺もそんな感じ。

いや、舐めたくねぇよ。

俺の場合は木を彫って人間を象るのが好きなんだ。

だから人前では彫らねぇよ。


……お前、この街に来てまだ気付かねぇの?


そうだよ、ここの連中はヤベェ奴ばっかなの。

そんな中に無防備に紛れ込んで嗅ぎ回って、いつ死んでも可笑しくねぇんだぞ。

その上人の弱点を容赦なく指摘するんだもんな。

刺されるぞ。間違いない。


……無自覚?

じゃあ尚更刺される。いや、刺されろ。


嘘だよ。でも本気で忠告してんだからな。

詮索を、するな。

俺達のことを。邪魔するな。


分かったら帰れ。

ナプラがうるせぇからよ。

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