導祖手帳

瑞薙 睦

プロローグ


雨が降っていた。


周りにはたくさんの人だかりが見える。


……なんで俺、倒れてるんだ?


体が変に重たい。


誰かが呼んでいる気がする…


誰だ?



……そっちか



急に体が軽くなった。


目の前に一人の幼い少女が見える。


――君か?さっき俺を呼んだのは?


少女は答えない。だがその背中は、俺について来いと言っているようだった。


――君は誰?


少女は答えるかわりに振り返って、薄く微笑んだ。



『久しぶり。』




ただ一言、そう言って……




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