第9話 Z星の真実


連絡船の中で高等人類は言う

「まぁ住民に罪はないが、粛清を恐れて服従してしまうようでは望みはない。全てまとめて消えてもらおう」

そして惑星系にある隠されたもう一つの『惑星Z』に報告を送ります。


「B星の滅亡シークエンスを実行して下さい。はい、これから回収した物質uαをB星に落とします。文明の規模からして今回は地殻に埋めた分の起爆も必要ですので、タイミング調整をおねがいします。前回同様、他に残された星からは隕石落下により滅亡したように見えるよう情報操作して下さい。特にA星とC星は天体観測技術が上がっているため人為的隕石落下に疑念を抱かれる可能性があります。レベル4の情報操作を要請します。また他の星の代表には我々が例の薬をB星に渡したと伝わったままです。情報無効化オプションの適応も追加で要請します」


始めから高等人類は惑星系外に旅立ったわけではなかったのです。惑星系の縁の小さなZ星に集団で移住していたのです。


Z星の場所はA〜E星からは観測が非常に難しい位置にあります。そこは太陽からは遠いため人類が生きていくには何らかのエネルギー源が必要です。5つの星から集めていた物質uα。それこそがZ星で人類が生活するエネルギー源となっていました。そしてあたかも支配者、もしくは世界の創造主のように振る舞うことで、疑念を持たれずに尊敬と畏怖の下に5つの星からエネルギーを吸い上げ続けることが出来て存続していられたのです。

5つの星の人類からは高等人類などと呼ばれていますが、その実態は『自称』高等人類に過ぎなかったのでした。


そしてB星に物質uαが落とされ、地殻に埋められた分も同時に起爆してB星の人類はあっけ無く滅びました。


しばらくすれば他の4つの星から人類がやってきて再びB星に人類社会が築き上げられるでしょう。高等人類もB星再建に加わります。B星の社会が再建しないと物質uαによるエネルギーの供給が少ないまま。それでは高等人類の住むZ星の暮らしも楽ではないです。

『自称』とは言え高等人類は進んだ科学技術を持つため、新しい社会は割とすぐに出来上がるでしょう。

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