第4話 記憶を消す薬

「人間の記憶を消去する薬を住民に対して投与した。この薬を使えばどんなに強権的な政策をとって不満が出ても、住民は不満も忘れてずっと幸せな暮らしをしていると思い続けられる。不必要な人間を抹消してもそれすら忘れさせることが出来る。めんどうなら不必要な数だけ間引いてしまっても、なんの問題も生じない」


他のA星、C星、D星、E星の代表はその方法を聞き驚愕しました。

E星の代表は強く非難します。

「そんな非道な方法が取れるわけがない。B星のやっていることは明らかに人間の持つ根源的な尊厳すら否定するものだ!」

他の星の代表も次々と非難の声を上げます。


しかしB星の代表はこう返します。

「あなた方は何か勘違いをしていませんか?」

他の星の代表はいったい何を言われたのか理解できず

「どういうことだ!?」

と問い詰めます。


B星の代表は言います。

「これは我々を統べる高等人類から直接伝えられた方法です。安定的な人類の発展のために必要な処置なのですよ。あなた方が理解出来る出来ないは関係ありません。この方法こそが人類のためのシステムそのものなのです。システムに従うことこそが幸せのはずですがあなた方はそうではないのですか?」


他の星の代表は言葉に詰まります。

「そ、そんな…。それが幸せだと…。高等人類が考えるシステムとはいったいなんなんだ…」


B星の代表は最後にこう言い残し会議を後にしました。

「この方法を使うかどうかはあなた方次第です。特に無理強いはしませんよ。そのまま膨れ上がった人間達によりいつまでも困窮した暮らしをし続けるのか、それとも私達の星のような繁栄を手に入れるのかどれでも好きな方法を選ぶといいでしょう」


そしてA星、C星、D星、E星の代表たちはぽつりぽつりとそれぞればらばらに無言で会議を後にしていきました。一様に憔悴しきった顔で…。

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