花の色に灰降りぬ

花の色に灰降りぬ


桜木町の駅の天井の上で小鳩が死んでいるのに気がついた


こちらを振り返った野良猫の首の片方が血まみれだった


誰かがひそかにわたしの世界を傷つけて遊んでいる


小鳩の死臭をかぎとったのは私だけ


野良猫のために立ち止まったのも私だけ


そうして幼いわたしが信じていた世界が剥落し


誰もが感知しながら無視を続けているあの大人の世界がやってくる


花の色に灰降りぬ


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