夏の日に出会えた彼女に…

黒豆

第1話

暇だ…ただそれだけだ僕の日常はなんの刺激もない。ただ毎日が流れ作業のように過ぎていくそんな毎日だ。ああつまらない、死ぬまでこんな日常が繰り返されるくらいならいっそ死んだ方がマシだ。それくらい今の僕は空虚だった。暇だった僕は散歩でもしようとサンダルを履いた。鈴虫の音が微かに聴こえる。丁度いい涼しさの中僕は外にでた。外は暗闇でいつもの外とは別の空間のようにさえ思えた。そこにはいつもの自分を覆い隠してくれるそんな暗闇に感じられた。耳にイヤホンをあてそっと歩きだす。この暗闇の中誰かがいるわけでもないけれど、まるで自分の存在を消すように僕は歩いた。音楽を聴きながら歩いているせいか不思議と歩く辛さを感じなかった。ふと気づくと知らない街中まできてしまっていた。どこだここ…見たこともない街並みだった。本当は知っているのかもしれないけれどこの暗闇のせいか別の世界に思えた。今の僕にはここがどこだがわからなかった。携帯の充電も運悪く切れてしまっていた。最悪だ…そう思っているところに前方から人影が歩いてきた。この人に聞くしかないそう思い僕は一歩前に出た。

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