天後記

澄明

1.プロローグ

敷地内の車道を挟んで渡されたガラス張りの連絡通路に一人の男が現れた。それは色白の優男だった。

埃を被った何かのガラス片がギリギリと靴底で音を立てて砕ける。

どこか物悲し気な視線を漂わせていた男は中央の辺りまで進むと、手すりに被っている埃など構わずに寄りかかり、その目を閉じた。

誰もいない廃墟にただ一人、佇むだけだった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る