第16話 片恋歌―かたこいうた― 5

     5


 快復した私は、元気いっぱい絶好調で学校とレッスンと練習を頑張る日々に戻った。だけどあれから朔が過保護で口煩い。

 洸くんには元気になってから電話した。悟おじさんから風邪の事を聞いて心配していたみたい。もう大丈夫だと伝えたら安心してくれて、でも無理しちゃダメって釘を刺されたからこれからはもっと気を付けますって約束した。


 寒さが本格的になった十二月。私達はミュージックビデオの撮影に臨んだ。

 私の芸名はあだ名そのままの姫で決定されたの。普段はダサ子ファッションの私。顔だけでなく本名も隠した方がプライベートを守れるからという事でそうなった。他のメンバーは下の名前をローマ字表記にするだけみたい。

「この衣装はですね、立葵をイメージして作ったんですよ」

 着替えを手伝ってくれながら、衣装を作ったデザイナーさんがミュージックビデオ用の衣装について楽しそうに解説してくれる。

 私が纏うのは立葵の花びらのようなシフォンのドレス。赤いプリンセスラインのそのドレスには空から降る雨粒をイメージした石が散りばめられ、腰には大きな八重咲の立葵が咲いている。

「腕と首に付けたグリーンのアクセサリーは立葵の茎を表しています。お姫様、両腕を絡めて真上に上げてもらえます?」

 言われた通り、私は両腕を上げて絡める。

「あぁ、完璧! やっぱり本物に着てもらうと違います! 仕上げはこの仮面」

 デザイナーさんの手で、私の顔には仮面が付けられた。下地のゴールドにアクセサリーと同じグリーンで模様が描かれた、顔の上半分を覆い隠すタイプの仮面だ。その仮面の右側には腰に咲いているものより小ぶりな立葵の花。ウェーブを付けた髪は花が咲いているのとは逆側で緩やかに纏められ、唇には深紅が引かれた。

「それでですね、それでですね! 一人じゃぁこの衣装、完成じゃないんです! さぁさぁお姫様、こちらへ!」

 完成した自分の姿を鏡で眺めていた私はデザイナーの女性に手を引かれ、着替えに使っていた部屋から連れ出される。この女性は、ホリホックの衣装やグッズのデザインを担当する会社の社員さん。

「酒井さん、あの……もう少しゆっくりお願いします」

「申し訳ない! 早く完成形が見たくて気が急いてしまって」

 着慣れないドレスにヒールの高い靴を履いた私はジーンズにスニーカーを履いた酒井さんの歩幅について行けず、それなのに腕を引かれるものだから足が縺れてしまった。私の腕を掴んでいた酒井さんが手に力を込めて支えようとしてくれたけれど、彼女は私より背が低い上に細い。このままだと一緒に倒れてしまうと焦った私の二の腕を、後ろから来た誰かの手が掴んで引き上げた。

「大丈夫かよ、千歳飴」

 声とそのセリフで誰だかわかった。お礼を言う為振り向いた私は、短い時間言葉を忘れる。

「すっげぇ……お前ほんとに中学生かよ? 見えねぇ」

「朔は、新米騎士みたいだね」

 私は心の中で大騒ぎ。目の前にいる朔は、朔なのに朔じゃないみたい! 朔のくせに格好良い。イケメン新米騎士が、そこにいた。

「これ、首苦しい」

 顔を顰めて不満を漏らした朔が纏っているのは、まるで物語の王子様のような衣装。緑色のそれはところどころに立葵の葉を模った飾りがあって、ドレスと違い動き易そうだ。

「騎士くん来た! どうです、お姫様! 王子と軍服ミックスのオリジナル騎士服なんですよ! あぁなんでマント付けてないんですかぁ!」

「トイレ行くのに邪魔だった」

 酒井さんに怒られても朔はいつもと変わらないふてぶてしい態度。偉そうな新米騎士に、私は小さく笑ってしまう。

「あぁもう早く完成させたい! でもお姫様がまた転ぶといけないんで、ゆっくり迅速に行きましょう!」

 そわそわうきうきした様子の酒井さんを追い掛ける為、私はドレスの裾を持ち上げて足を踏み出した。中にパニエを履いているお陰で生地が脚に絡みつく事はないけれど、パニエもドレスも重たいしとっても歩きづらい。恐々廊下を進む私を、少し後ろを歩く朔が興味深そうに眺めている。

「ガンバレ」

「何それ全然気持ちがこもってない!」

「服に着られてる感が、ウケる」

「当たり前じゃん! 私はただの中学生だよ? ドレスなんて着慣れてる訳ないし靴も……歩きづらい」

 顔を顰める私を無言で眺めてから、朔はひょいっと私を追い越した。

「どうして欲しい?」

「え?」

 私を追い越した朔はそのまま先へ行ってしまう事はせず、振り向き私に問いかけた。問われた事の意味がわからず、私は首を傾げる。

「どうやったら歩き易いか言え。旭さん達がいる所までもうちょっとだけど、一人じゃ大変だろ?」

 手伝い方がわからないのだと告げた朔は意地悪なようでいて、本当は優しい。知るにつれ、近付くにつれ、朔の優しさが見えて来る。でも朔から優しさを与えられる事に慣れていない私はどう反応したら良いのかわからず困ってしまう。

「抱っこが良い」

 素直に甘える事は出来なくて、冗談で誤魔化してみた。

「無理だ、アホ」

 確かにパニエが邪魔で抱っこなんて無理だし、そもそも私と朔の体格差で抱っこは無理だと思う。朔の体はまだ、少年らしい細さを残しているから。旭さんくらいマッチョなら出来るだろうけど。

「アホな事言ってると置いて行くぞ」

「待ってよー」

 前を向いてしまった朔を追い掛けようとした私は、少し前を歩いていた酒井さんがこちらを見てにやにやしている事に気が付いた。

「ここはお邪魔すべきではないのでしょうが、両側からお姫様の手を取って支えてあげれば歩き易いかもですね」

 酒井さんの提案に従って、朔が無言で私の右手を掴んだ。エスコートという言葉が似つかわしくない乱暴さだ。左手は酒井さんに取られ、二人に挟まれた私は廊下を進む。本当はこの移動、何人かでサポートするはずだったらしいんだけど酒井さんが突っ走った所為でサポートメンバーを置いて来てしまったらしい。その後すぐに追いついて来たその人達は、朔と酒井さんに挟まれた私が動き易いよう後ろから手伝ってくれた。

 多くの人の手を借りて私が辿り着いたのは撮影に使うスタジオで、機材がたくさんあるそこには既に朔と同じ衣装を纏った旭さんと翔平さんがいた。二人は朔と違ってマントを身に着け、顔には仮面も付けている。仮面のデザインは私が付けているのと同じなんだけど、二人の仮面には立葵の花がない。

「おー! 今回も美女だねお姫さん!」

「翔平さんも素敵だよ! 旭さんも、なんだか強そうで格好良い!」

 少し長い翔平さんの髪は後ろに纏められて一本に結ってあった。旭さんはスキンヘッドの騎士で、腰にある剣を抜いたら余裕で敵に勝てちゃいそうな雰囲気がある。

「さぁさぁ新米騎士くんもこれ付けて。四人で並んで下さいな」

 瞳をきらきら輝かせた酒井さんに促され、朔はスタッフの人に手伝ってもらってマントと仮面、小道具の剣を身に着けた。

「見て下さい! ここは王宮で行われる仮面舞踏会の会場なんです!」

 機材の調整をしている多くの人達が行き交うスタジオ内。酒井さんに促された私達四人は数台のカメラに囲まれた場所へ足を踏み入れた。殺風景な室内の一角にある、煌びやかな場所。まるでヨーロッパにある宮殿の一室みたい。

「見ての通りお姫様が立葵の花です。梅雨空を彩る彼女。それを支える葉や茎が騎士の三人っていうイメージで衣装を作りました。ほらほら三人ともお姫様の足元に跪いて下さい? ――あぁ素敵! 姫に傅く騎士の三人! 四人でホリホックの完成です!」

 酒井さんは説明しながら私達四人の写真をスマホで撮り続けている。採寸の時に初めて会って挨拶した彼女は明るく楽しい人だ。後でその写真を送ってもらうよう酒井さんに頼んでいると、スタッフの一人が近付いて来てそろそろ撮影が始まる事を告げた。その言葉を合図に酒井さんはセットの外へ出て、変わりにやって来た男性は今回のミュージックビデオ撮影を取り仕切る監督さん。改めて撮影の流れの説明を受けた私達は、初めてのミュージックビデオ撮影へと臨む。

 まず始まったのはジャケット撮影。運び込まれた豪華な椅子へ座るよう言われ、私はドレスが綺麗に見えるよう調節するスタッフの人達の指示に従いながら腰掛けた。メンバーの三人は私を囲うようにして配置され、写真をたくさん撮られる。四人揃った写真を撮った後は一人ずつ。更にそれが終わった後でいよいよミュージックビデオの撮影だ。

 私達が水分補給とメイクを直されている間に豪華な椅子は運び出され、楽器が並べられて行く。マイクは髪で隠すようにして耳元へ装着された。

「それじゃあ、最初は自由に動いてみようか。でも格好良さは意識してね。姫は大人の色気出して」

 大人の色気って、中学生の子供に求めるものなのかな? 監督さんのその言葉で、私は中学生だと思われていないんじゃないかという疑惑が心の中に浮上した。でも、それを今気にしたって仕方ない。素顔が中学生に見えない事なんて自分が一番良く分かっている。それは決して老けている訳ではないと主張したい!

「ガキに色気なんて出せんのかよ?」

 腰の剣を外してギターを持った朔に、鼻で笑われた。

「頑張るもん!」

「ガンバレ」

「だからそれ、心がこもってないってば!」

 いつも言い合いをする時みたいに詰め寄りたい気分だったけど、ドレスの重さで断念。

「大丈夫だって、お姫さんは黙ってれば色気ダダ漏れの大人みたいだから」

 スタッフさんに連れて来られたボーカルの立ち位置で身軽には動けない事に不満を覚えていた私に掛けられた、翔平さんからの追い打ち。翔平さんはベースを抱えて悪気のない笑みを浮かべている。

「だってよ、千歳飴」

「そんな意地悪な顔して笑わないでよ! 朔だって新米騎士じゃん!」

「俺は年相応って事だろ」

 悔しいけど、その通りだ。

 朔が私を余裕の態度で眺めて、口パクで「ガキ」って言った!

「お前らその辺でやめておけ。朔も、緊張解す為とはいえ姫をいじめるな」

 旭さんに窘められた朔は何も言わず、私に向かって舌を出す。私もお返しに舌を出して、それを後ろで見ていた旭さんが苦笑している。

 確かにみんなCM撮影の時程緊張はしていないみたい。私も、カメラの前に立っているっていうのにいつも通り。心臓もそこまで暴れていない。でもこれが朔のお陰だなんて悔しいから絶対に認めない! CM撮影の時は朔が一番緊張してたくせに!

「仲良しは良い事だけど、そろそろカメラ回して良いかな?」

 私達の様子を見ていたらしい監督さんからの言葉で、みんなの表情が真剣なものに変わった。旭さんが大丈夫だと答えると、それぞれの持ち場についたスタッフさん達の空気が引き締まる。

 監督の合図でカメラが回り始め、旭さんのスティックが最初の合図を送った。ドラムとベースが同時に音を奏で始め、そこに朔のギターが加わる。目を閉じ私は三人の音に集中する。私が惚れた、三人の音。体に染み込み、痺れを広げていく。高揚感に包まれた私は大きく息を吸い込み、歌として想いを吐き出した。旭さんが書いた歌詞の所々を私が英訳して、みんなで作り上げたホリホックのデビュー曲。大人かっこいい恋の歌。

「うん、いいね。最高!」

 全ての音が空気へ溶け込みスタジオ内が静寂に包まれた一瞬後に掛けられた、監督からの満足そうな言葉。動き出す多くの大人の中心にいる私達は、ほっと息を吐き出した。だけど安堵と興奮を共有する前に、セットへ入って来たスタッフさん達にそれぞれ囲まれてしまう。汗を拭かれてメイクを直され、忙しなく次の指示が飛ぶ。次は監督に出された指示の通り動くんだ。それによるとどうやら、私は色っぽく男性メンバー達を誘惑して翻弄しないとならない。

 出来るかどうかは問われていない。やらないとならない。だから、頑張るぞ!

 再びカメラの前で前奏が奏でられる。今回重要なのは私だ。私が率先して動かないと成功しない。私は千歳じゃない――姫だ。

「カーット!」

 重たいドレス姿で動きながら歌った所為で荒くなった息を吐き出して、私は深呼吸を繰り返す。今撮った映像を確認する為に監督やスタッフさん達が再び動きだし、私も映像が見たくてそちらへ向かおうと思った。

「お姫さん、何か降臨してた」

「惚れる。この子は中学生。十四歳。子供なんだ」

 翔平さんと旭さんの声が耳に届いて首を傾げる。振り向き確認した二人の顔は、赤く染まっていた。

「何? どうしたの?」

 私の問い掛けには大きな溜息が返って来た。訳がわからない。一人何も言わない朔へ視線を向けてみれば、呆れが顔に浮かんでいた。

「だから、何?」

 頑張った事を褒めてもらいたかったのに、望んでいたものとは違う反応が返って来た事に不安になる。何か失敗でもしていたのかな。

「わかんねぇなら自分で確かめろ」

 どうしてか不機嫌な様子の朔に二の腕を掴まれ、乱暴なエスコートをされた。向かった先は、今撮ったばかりの映像をチェックする為に監督さん達が集まっている場所。そこで流れていた映像に私はあんぐり口を開けてしまう。

 画面の中では三人の騎士が演奏している。その中心で、ドレス姿の女が妖艶に微笑んでいた。彼女は歌いだすと同時に歩きだし、ベースを弾いている騎士を誘惑するように手を伸ばししな垂れかかる。かと思えば優雅な動作でその場を離れ、ドラムを叩く騎士へ近付き微笑み掛けながらその体に触れた。終いにはギターを奏でている新米騎士へ歩み寄り、キスするように顔を近付けてしなやかな腕を新米騎士の体へ絡ませる。そして唇が触れる直前で楽しそうに笑って離れてしまった。

「悪女がいる」

 楽しそうな様子で色気を振り撒く姫は戸惑う騎士達を翻弄し、するりするりと逃げて行く。

「これ、自分だからな」

「私って悪女?」

「……そうかもな」

 朔から悪女認定された。確かに生まれ持った顔は悪役面ではあるけれど、悪女と呼ばれるとは思ってもみなかった。

「おい悪女。次撮るってよ」

 ショックを受けて呆然としていた私は朔に促され手を引かれる。

「悪女も才能の内」

「そんな才能いらないよ!」

 悲鳴を上げた私は新米騎士の乱暴なエスコートで仮面舞踏会の会場へ戻り、何とか気分を入れ替えて再会された撮影をこなしたのだった。


     *


「ねぇ広瀬さん。私が中学生だって、スタッフさん達は知らないの?」

 帰りの車中、撮影の終わる時間に私達を迎えに現れた運転手をしてくれているマネージャーさんに聞いてみた。香水の時といい今日といい、中学生にあるはずのない大人の色気ばかりを要求されたから、胸に湧いた疑惑をはっきりさせたいと思ったの。

「それは、知らせてないわね。姫君は年齢不詳の美女って事にしたいの。だから多分、成人しているか十代後半だと思われているはずよ」

 バックミラー越しに言われた内容にショックを受ける。老けている事を突き付けられた気分だ。

「確かにお姫さん、中学生には見えないもんなぁ」

「中学生だって知らなかったら間違えて惚れそうだもんな。今日は特に凄まじい色気を振り撒いていたし」

 ワゴン車の後ろの方で、翔平さんと旭さんが私の色気について語りはじめた。色気があるっていうのは褒め言葉のはずだけど、中学生が言われて喜ぶ言葉ではないと思うんだ。それに、若さがないのは前世の記憶がある影響なんじゃないかなんて、結構本気で悩んじゃう。

「難しい顔してると老けるぞ」

 皺、と眉間を突つかれ指摘された私は、隣に座っている朔を睨む。最近優しいと思ったけど、やっぱり朔は失礼な子だ!

「ガキ」

「ガキじゃないもん! 今大人っぽいって褒められてたでしょう?」

「大人は怒っても頬を膨らませたりしねぇよ」

 朔は片手で私の頬をむにりと潰した。我儘かもしれないけど、ガキ呼ばわりされるのも何だか悔しい。

「……疲れたんだろ? 無理しねぇで、着くまで寝とけば?」

 頬から手が離され、掛けられたのは気遣う言葉。確かに今日はとっても疲れた。ドレスを着るのは楽しかったけど重たかったし、歌いながらたくさん動いた所為でへとへとだ。私の家に着くまで一時間くらいは掛かる。だから私は朔の言葉に素直に従い、ひんやり冷たい窓へ体を預けて目を閉じた。


「千歳飴。着いたぞ」

 静かな声に呼ばれ、意識が浮上する。気付けば、走行中の心地良い車の揺れが止まっていた。

「おい。起きねぇならガキみたいに抱っこするぞ。旭さんが」

「朔じゃないんだ」

 思わず噴き出し笑ってしまった。

 目が覚めた事で、私は自分の体勢に疑問を抱く。硬くて冷たい窓に寄り掛かって眠ったはずなのに寒さも痛みも感じない。どうやら私は朔の肩を枕にしちゃってたみたい。

「ごめん。重かったよね」

 眠い目を擦りつつ謝った私に、朔は何も言わなかった。ドアを開け、さっさと降りろと私を促す。

「今日はお疲れ様、お姫さん。ゆっくり休んでね」

「風邪引かないようにな」

「うん。みんなお疲れ様。広瀬さんも、ありがとうございました」

 手を振りながらみんなに挨拶して車を降りたら、何故か朔がついて来た。問う為向けた私の視線を受け止めて、朔は顎をしゃくって玄関を示す。

「お前、すぐ転ぶから」

「こんな短い距離じゃ転ばないよ。それに今は履き慣れた靴だし」

「風邪ひく」

 とんと背中を押され、しぶしぶ私は玄関へ向かって歩き出した。すぐ後ろを朔がついて来たのは気にしない事にする。近頃たまに顔を出す、朔の過保護が発動しただけだろう。

 玄関前に辿り着き、短い距離の護衛に対してお礼を言う為振り返った私は予想外の優しい眼差しとぶつかり、ぎくりとした。

「さっさと寝ろよ」

 伸ばされた手が頬を滑り、髪を掛けるようにして耳元を撫でる。一瞬だけ浮かべた穏やかな微笑。朔はすぐに踵を返して車へ戻る道を歩いて行く。その背を見送る私の中には、少し前に抱いた疑惑の答えがすとんと落ちて来た。やっぱり、朔は私を好きらしい。あの瞳は確定だ。直接言葉にされた訳ではないけれど、瞳が想いを伝えて来た。だけど気付いたって動けない。告白された訳じゃないのに断れない。厄介な事にならなければ良いなと願い、私は白い溜息を吐き出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る