死から始まる恋もある side Ghost

湯浅八等星

序章 死から始まる恋

冴木 梓が死んだ。

朝のホームルームで告げられたその事実に、驚く人、泣き出す人、呆然とする人、いろんな奴がいた。


「嘘ですよね?」

質問というよりは懇願とでもいうように、学級委員が声を出す。


もちろん返ってきたのは否定の言葉で、車に轢かれただけで人は死んでしまう、俺たちはそういった彼女の死という揺るぎない事実をつきつけられた。


そんななかで俺は言葉にできない気持ち悪さに襲われていた。


何か大切なものを失ってしまったような気がする。そんな感覚だけがあった。


これから始まるのは俺と彼女の話だ。

一つ断っておくなら、この話にはきっとハッピーエンドは訪れないと思う。


だってそうだろ?

死んでしまった人に恋をした奴に、ハッピーエンドなんてあるわけがないんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る