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「…ほれ、お前らの分…あの建物の入口で渡すんだ」
「いいか、お茶会が始まるまでは普通にしてるんだぞ?」
「騒ぎになったら困るものね…私達が合図するから、それまでは大人しくしてるのよ?」
チケット的なのを一枚ずつ精霊達に渡すとエルーとリザリーが念を押すように釘を刺す。
『…分かってるわよ』
『…中止………る…』
『…なんで人間に気を使わないといけないのー?』
『人間が主催し、開催しているからだ…我々は本来なら招かれて居ないのだから大人しくしていないと創造主に迷惑がかかる』
『…分かった…』
…貴族的な立ち位置だからなのかやっぱりユリがワガママを言うも、ファイが慣れた様子で納得させる。
「…さて、話は纏まったところで…そろそろ受付を済まさないと時間が…」
「…わ、もうこんな時間…」
『それじゃ、行きましょ♪』
『レッツゴー!』
エルーが腕時計で時間を確認しながら告げるので歩こうとしたら…ニーナが俺の右腕に絡みついてきて、ユリが背中に乗っかった。
そして、仲間外れが嫌なのかアニーも無言で左腕に絡みついてきた。
「…ほら、離れなさい…はい、コレ」
『やだ……はい』
『…コレ…』
館の入口で警備員兼受付であろう結構強そうな兵士に、リザリーがニーナに離れるように促しながらチケットを見せる。
ニーナは嫌がりながらチケットを渡し、アニーも一緒にチケットを渡す。
「あはは!いつもいつも大変だねぇ…はい」
『…うにぃ…ひゃめ…ひゃい』
『…コレも』
ショコラが笑いながらユリのほっぺを軽く摘んで引っ張って遊びつつチケットを渡すと、口だけで軽く抵抗して何故かチケットをファイに渡すので…
ファイはそのまま二枚のチケットを差し出す事に。
「お願いしまーす」
「しまーす」
「…俺で最後だ」
「……はい、全員で9名様ですね…確認しますので少々お待ち下さい」
何故かマキナが俺の言葉を真似して笑いながらチケットを渡し、エルーも差し出すと結構強そうな兵士は名簿にチェックして受け取ったチケットを隣の兵士に渡した。
「………全員のシリアルナンバー、チェッククリア」
「…では中へ」
もう一人の結構強そうな兵士がデジタルカメラっぽいモノでチケットを確認し、オッケーだったからか結構強そうな兵士がドアを開ける。
「…ようこそいらっしゃいました、間も無く始まりますのでどうぞ中へ」
すると燕尾服の執事が待機していて俺らを見て頭を下げると案内を始めた。
「…始まるまで残り三分…丁度良い時間だな」
「お名前を伺ってもよろしいですかな?」
「アイリス…」
「研究所御一行で」
エルーの呟きに反応するように執事が案内する席の名前を聞いて来たので、リザリーが偽名を言おうとしたのを俺が遮ってそう告げる。
「研究所御一行様ですか…ああ、確かに…まだいらっしゃってはいませんでしたね…」
「…なんでソレで通じるの?」
「元上司に俺らの席は同じ場所にして、って言ったら既にそういう風にされてた」
執事が案内する場所を定めるように呟くとマキナが疑問を聞いて来たので普通に返す。
…俺の偽名とか精霊の偽名とか考えるのが面倒だからなー…
まあ、席には多分『村人B』『ニ』『ア』『ユ』『フ』って書いてあるだろうけども。
俺のはいつもの通り名で、精霊達は普通に名前の最初の文字だ。
「…えー、ただいまよりお茶会を始めたいと思います!司会は私…」
「ココでございます」
「ありがとうございます」
席に向かってる最中に時間が来たらしく階段の途中にいる男にスポットライトが当たり、その男が話してる最中に俺らの席に着いた。
…ちなみにこの洋館っぽい館全体が会場らしく、俺らが案内されたのはドアが解放状態で固定された結構広めの個室。
流石に9人同じ部屋だと普通の部屋じゃ狭いんだろうよ。
…とりあえず部屋の中にはパーティとかで置かれてるような大きな丸テーブルが三つに、三人がけのソファが二つ用意されている。
そして結婚式みたいな感じでテーブルの上には偽名の書かれた紙が入ったプレートも。
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