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「…え?あ、どうぞ…」


「ありがとうございます」



受付の男はパソコンから目を離して了承の返事をするとまたパソコンに目を向けた。



一応お礼を言い、ケータイで研究所のファックス番号を確認して電話をかけて書類を流していく。



「…ありがとうございました」



全ての書類を流し終えた後に見てないだろうけども頭を下げ、再度お礼の言葉を言ってさっきの部屋へと戻る。



…あー、メンドくせ…でもまあ貸しが増えんだから我慢我慢…っと…



まるでどこぞのサラリーマンのような作業を怠く感じたがメリットの部分を自分に言い聞かせながら、ギリギリ青年の対面のソファに座った。



「…どうでした?」



ピピピ、ピピピ、ピピ…



「今からですね…もしもし?」


「契約自体に問題は無いわ、オッケーよ」



ギリギリ青年が聞くのと同時にケータイが鳴り、電話を取るとさっきの意趣返しなのか用件だけ告げられて電話が切れる。



「…契約成立ですね、サインっと…」


「…はい、確かに…あと、こちらがファースト・テスルになります」



俺が契約書にリザリーとマキナの偽名である『アイリス・ミッシピノ』と『ミリア・リアージ』を混ぜた『アイリス・リアージ』の名前でサインしたら…



ギリギリ青年が書類を片付けてテーブルの下から大きな紙袋を取り出した。



「…コレが…」


「一瓶100gの20個ですね…今回は大口の取引がありましたので、値引きして2kgを70万でお譲り致します」



中から茶葉の入った瓶をテーブルの上に置くので手に取って確認すると、なんかさっきの値段より安くなっている。



「…分かりました…コレで」


「…お買い上げ誠にありがとうございます、確認させていただきます…」



さっき出した100万の札束をそのまま差し出すとギリギリ青年は頭を下げて受け取り、枚数を数え始めた。



「あ、釣りは要らないです」


「…えっ!?」



テーブルの上の瓶を大きな紙袋に入れた後にそう告げると、既に半分ほどまで数えていたギリギリ青年が驚いて手を止める。



「多分30枚ほど余ると思うんで…出来れば従業員達に食事や飲み物の差し入れをして貰えれば」


「……確かに、ぴったり30万多いですが…本当によろしいのですか?」



俺の提案にギリギリは金を数え終わった後に確認を取った。



「はい、あ…あと、この町に駐留している軍の方達ですけど…一週間ほど、この町を離れるそうです」


「…え!?そうなんですか!?」


「自分と話してる最中になにかしらの指示があったようで…急いで町から離れて行きました」



別にお釣りの金なんて無くてもいいので普通に頷き、嘘を吐いて輸入が一時的に再開出来ると告げる。



…とりあえず今日中にコンテナに積んで貰えればいいかな。



どうせ嘘がバレるのは明日だし、その頃にはもう俺は居ねぇし。



…そもそも買い取れる分は全部買い取ったんだから、次の輸出準備に入る前には嘘だって分かんじゃね?



だから損害を被る事はないだろ…多分。



「では一週間以内にこの町から出る事が出来れば…!」



ギリギリ青年は俺の嘘と見破る事が出来るハズもないので、天の助け!といわんばかりの反応を見せた。



「自分はトレーラーなどの手配をして来ますので、コンテナの用意などを任せてもよろしいですか?」


「あ、はい…一応輸出が出来る前提で進めていましたので、夕方頃には積み込みが終わると思います」



適当にそれっぽい事を言って輸出用コンテナに茶葉を詰めるよう促すと、どうやら既に作業には取り掛かっていたらしい。



…ほう、思ったよりも早く研究所へと戻れそうだな。



「…では夕方頃に作業の進捗状況の確認に来ますね」


「分かりました、あ…従業員の差し入れのお金、ありがとうございました」



俺が部屋を出ようとするとギリギリ青年が頭を下げて礼を告げる。



…ソレをスルーしてとりあえず俺は夕方までの間、町の宿屋かどっかで時間を潰す事に。



































































































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