9
…翌日。
「程人くーん、朝だよー」
まだ朝も早いというのにマキナが何故か起こしに来た。
「…もうちょっと寝かせて…ん…?」
「…朝、か……ん…?」
俺は寝返りをうったところで何かの異変に気づくと何故か同じベッドの隣にエルーの姿が。
「「なっ…!?」」
「おまっ…!なんで俺のベッドで寝てんだよ!ショコラかリザリーも居たんならともかく…!」
「お前こそ!なんで俺の部屋に…!?」
「…あれ、もしかして邪魔しちゃった?」
お互い同時に驚き、俺が焦りながらすぐさまベッドから下りてそう聞くとエルーも焦ったように聞いてくる。
そしてマキナが可愛い笑顔で首を傾げた。
「…ちょっと待て、この部屋…どこだ?」
「え?157だよ?」
「「157!?」」
俺の問いにマキナは一瞬不思議そうな顔をするも直ぐに答え、その内容に驚くと何故かエルーも驚き反応と声が被る。
…うそだろ…?おいおいおい、待て待て…俺は確かいつもの部屋で寝てたハズだが…
「…俺は確か自室で寝たハズだが…」
「俺もいつもの所で寝てたと思うんだが…」
エルーの困惑したような呟きを聞き、俺も多少困惑しながら呟く。
「…なあマキナ、この部屋は157で間違いないのか?」
「うん、嘘だと思うなら確かめてみたら?」
エルーが何かを考えながら確認するとマキナは頷いてドアを指差した。
…マジじゃねぇか…なんでこんなとこで寝てんだ?
夢遊病じゃあるまいし…夜中にトイレ行った記憶も無いぞ。
俺は一旦廊下に出てプレートの番号を確認して寝る前の事を思い出そうとした。
「…ちょっと待てよ…マキナ、お前なんで俺がココで寝てると分かったんだ?」
少し考えてふと気になる事が頭に浮かんだのでそのまま聞いてみる事に。
「え?だって私が運んだから」
「…は?」
「程人君が寝てる最中に起きないよう細心の注意を払いながらだったから少し時間かかったけど」
予想外の答えに俺が飲み込めずに聞き返すとなんか説明し始める。
「…なんで?」
「え、面白いかと思って」
俺が率直な疑問を聞くも良く分からない事しか返ってこなかった。
「…もしかして俺も…?」
「ううん、エルーはショコラが」
「「…なぜ?」」
「もしかしたら面白くなるかもしれないかな…って」
まさかのショコラも一枚噛んでいたという事実に驚くが、こんな事をした理由がイマイチ分からない。
…野郎二人を同じベッドに寝かして起こる面白い事ってなんだよ…
BLか?もしかしてBL的な何かを狙ったのか?
…ソッチの気がある野郎を二人、同じベッドに寝かせるんならまだしも…
なぜにソッチに興味ない…どころか若干嫌ってる二人を同じベッドに寝かせる?
意味分かんねーし、マイナスとマイナスをかけたらプラスになるとでも思ったの?
若干嫌い…から、アリかも…になるとでも思ったの?
…アホじゃねぇ?
「…面白くなるわけないだろう…」
「全くだ、いい迷惑だぜ…」
俺が内心呆れてるとエルーがため息を吐きながら言うのでソレに同意した。
…はぁ~あ、まだ寝れたのに無駄に目が覚めちまったよ。
「…程人君なら、って面白い展開に期待してたのになぁ…」
「…アホか、俺にとっては最悪やわ…で?何の用だ?」
マキナの恐ろしい呟きを一蹴するようにツッコんで拒否し、俺を起こした目的を問う。
「あ、そうそう…アレを使わせてー…って」
「別に構わないが、何に使うんだ?」
「今のうちに学会に提出する論文でも纏めとこうと思って」
「…ご苦労な事だな…今か?」
どうやら俺が作った別空間を作り出すアレを使いたいらしく、一応目的を聞くと仕事のためのようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます