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「…殺さない、と分かっていても?」
「ソレが分からないから緊張して警戒するんだよ…俺には心を読む能力なんて無いからな」
大地神ガイアの問いに俺は肩を竦めながら答える。
「…私は、貴方を殺さない」
「女神ガイアはね、時空神クロノスはどうだか」
「…殺させない」
「…どうだかな、殺した後に怒ろうが後の祭り…かと言って殺ってもないのに抑えつけられはしないだろ?」
大地神ガイアがキッパリと言い切るが、ソレだけでは安心出来ない…と最悪の状況を想定して話す。
…心が読めると言っても気まぐれや心変わりにも対応出来るのか否か…
その気になれば一瞬で今の俺を殺せるんだから同位の女神と言えど止める手立ては無いハズだ。
「…確かに、心は読めても、考えまでは読めない…」
「だから俺は常に最悪の事態を想定してソレに対応出来るようにしてんだよ」
命がかかってたらたとえ0.1%でも完全に0%じゃなけりゃ試す価値はあるからな…と、ちょっと俯くように斜め下を見ている大地神ガイアに俺の考えを告げた。
…無理だと分かっていても他に方法が無いんならやるしかない。
運が良ければ生き残れるんなら神様仏様閻魔様にでも賭けないとな!
「…神は私達、仏と閻魔…?」
「仏は聖者と呼ばれて、人間よりも高位な存在とされてて…閻魔は悪人が死んだ後に行くとかいう地獄の王様と呼ばれている」
またしても俺の心を読んで不思議そうに首を傾げたので、合ってるか分からないけど独特の解釈を混ぜた説明をした。
「…高位な存在…私達よりも?」
「いや…流石に神は最上位だからな…せいぜい人間より少し上ってだけだ」
「…閻魔は?」
「…うーん…地獄に仏って言うぐらいだからな…仏よりは高位な存在じゃない?」
言葉の使い方は間違ってるかもしれんが、仏は手助けぐらいしか出来ずに閻魔の決定を覆せないんだから…やっぱり閻魔よりは下?
大地神ガイアの疑問に正解なのか不正解なのか全く分からずそれっぽい事を適当に言う。
「…なるほど」
「まあ仏も閻魔も宗教的なアレコレになってくるから立場がどうってのも面倒で格付けが難しいんだよな…」
とりあえず最上位が神、上位が閻魔、中位が仏で、最後の下位が人…だと思う。
俺個人の勝手な格付けにするんならば。
納得したように呟いた大地神ガイアに最終的には信仰に左右されるっつー事を伝える。
神仏混淆なんて意味分かんねーし。
神と仏なんて混ぜるな危険、じゃねえの?
交わらせるな、混交させるなよ。
そもそも最上位の神と中位の仏を一緒にして『神仏混交』神も仏も…って神に失礼。
仏なんてただの人間が悟り開いてワンランク上がっただけの聖者だか釈迦だかなんだから…
猿と人間を混ぜて交わらせるのと一緒じゃね?
…まあ、俺は神仏混淆の何を知っているってワケじゃないからここらで止めとくが。
お前のその知識間違ってるわ!って言われたらアレだし。
「…つまり、私達より格下?」
「そうなるな、俺は実際に見た事無いから存在するか分からんけども」
一応は神様仏様閻魔様~、と下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦で適当に賭けてるだけだけど。
運良く上手く行けば、やったー!上手く行かなくても、しょうがない…だから所詮はただの気休めに過ぎねぇ事だし。
「…なるほど、精神に一時的な安らぎを与える…」
「安らぎとはちょっと違うけど…麻痺させる感じ?痛みも苦しみも感じなければ怖くない、ってな」
そのために言葉として借りてるだけだから、実際に神や仏や閻魔に何を頼むワケでも…お願いするワケでもない。
…どうせお願いしたところで聞き入れられる事は無いから。
「…出来る範囲でなら」
「いやいや、本当にお願いしたいワケじゃないって」
何故か願いを叶えてしんぜよう…みたいな雰囲気になってしまったので手を振って断る。
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