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「…そう?残念…」


「どうせ俺の本当の願いは神にだって叶えられねぇんだしな」


「…気になる、話だけ」



俺が断った事でほんのちょっと落ち込んだ様子を見せるも直ぐに立ち直り、好奇心で聞いてきた。



「俺の中にあるドス黒い負の塊を綺麗サッパリ消して欲しい、そうすりゃ女の子ともヤれ…なんでもないなんでもない」



本当の願いを話すも危うく薄汚い欲望まで漏れてしまいそうだったので、慌てて自制する。



「…ドス黒い負の塊…?」


「…まあ分かんねぇか…負の感情を押し込め続けた結果、取り返しの付かない事になっちゃってね」



解放しないと消えない、けど解放したらとんでもない事になる…と取り返しの付かない事…の内容を話す。



「…負の、感情…」


「コレばっかりはどうしようもない…どうにか出来るよう頑張ってはいるが中々欲しい物が見つからなくてね、今は四苦八苦してる状況だよ」



若干驚いたような大地神ガイアの呟きに俺は雰囲気を重くしないように軽いノリで返した。






「………っ!!?」



少しの沈黙が流れた後、唐突に…ほんと突然、大地神ガイアが驚愕したような表情になって後退る。



…あーあ、好奇心を刺激したっつーか興味を持たれてしまったか…



「…なに、ソレ…!!」


「だーかーら…何度も言ってるだろうが、人の心を読むのは止めてくれ」



…今回のは『読む』というよりも『探る』だろうけど。



ってか良くもまあ負の感情を押し込めたのに触れようと思ったな。



視たところでどうなるワケでもあるまいし。



「…なんとも、ないの…?」


「…なんとかあったら今この状況になってると思うか?」



表情には出してないが、信じられない…とでも言いたげなオーラ…雰囲気?を出しながら聞いてくるので皮肉で返した。



「…思わない…けど…」


「勝手に人の心を探った挙句にその反応って流石の俺も傷付くぞ…んなつまらん事は忘れてくれよ」



首を振って否定するも言い淀むので呆れたように呟いてため息混じりに頼む。



「…努力する」


「そりゃ助かる」


「…でも…予想より遥かに、想像を絶するぐらい、凄かった…」



この話題は終わり…かと思いきや、何やらいかがわしい言い方でまだ引っ張る。



「…好奇心は猫をも殺す、ということわざがあってな」


「…なにそれ?」


「猫の命は九つある…まあ九尾のような感じで簡単には死なない、とされていたんだが…そんな猫でも好奇心を持つと死ぬって言われてたんだよ」



まあ簡単に言えば、過剰な好奇心は身を滅ぼす…だな、と気づかれないように…遠回りに大地神ガイアを責めるような言い方をした。



「…どういう、意味…?」


「好奇心を抑えきれずに軽はずみな行動を取ると痛い目を見るぞって事だ」


「…なるほど」



簡単に言っても理解出来ないようなので、言い方を変えて分かりやすく説明をすると納得したように頷く。



「まあ神が痛い目を見る事なんて稀も稀だから心の片隅にでも留めといてくれればそれで…」


「…分かった」


「…つーワケで、俺の中の負の感情の塊については終わりな」



これ以上掘り下げられても困るので俺は多少強引ではあるが話を無理やり打ち切る。



「…分かった」


「じゃあそろそろ外に行こうぜ」



大地神ガイアは納得のいかなそうな表情をするものの渋々といった感じで頷くので外出を促す。



…最初に外出る、って言ってクロノスが出て行ってから結構時間経ったんじゃね?



何分経ったか分からんけど、流石に5分以上も経った…っつー事は無いハズ。



…今度は普通に部屋から出て、宮殿のような大きさの家の廊下を歩きながら外へと移動した。



廊下を歩いてる際に天使達とすれ違う度に後ろの大地神ガイアを見て、片膝を着き忠誠のポーズをしてるのはいつもの事なので普通にスルー。

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