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その後、調停者に電話して報告すると…
なんと冥妖召喚術の資料を授け、研究を進めてたのは調停者の指示だった事が発覚。
…まあこんなやっべー事を調停者が知らねーっつーのもおかしな話なので驚きはしたが直ぐに納得出来た。
一応予想通りに進んではいるものの実際どこまで進んでるのかを知るために、俺がコピーした資料のコピーを寄越せと言われるっていう。
俺らもこの研究に調停者が直々に関わってんのなら迂闊に手を出せない案件になってしまったため…何もせずにそのまま撤退。
ゾンビや式神とチェンジして妖怪退治を続行する事に。
……なぜ調停者が半妖化の研究に手を出したのか分からんが、とりあえず冥妖戦争の蒸し返しに発展する危険性は無くなったワケだ。
もしかしたら半妖化の研究は別のところに狙いがあるのかもしれない…
意外と半妖化せずに人間を強化できる方法を探ってたり…とか。
俺らからすれば身内の危険が無くなればソレで良いことなので、もはや調停者の意図などどうでもいいんだけど。
ただ…あの資料は凄かったな…
死体を妖怪に変える術、人間を半妖化する術、妖怪を召喚する術…
俺が養成学校時代に独学で調べたどんな魔術にもあり得ないであろう異次元の技術。
攻撃、防御、強化、操作、治癒…どれにも属さない特殊性。
なにより…死体を、死人を、生き返らせて戦力に変えるっつーリサイクル的な効率的な合理性がヤバイ。
…身体が食われて死んだ俺を、生前と変わらぬ姿で、記憶も性格もそのままに、能力を高めて生き返らせる…
ばあちゃんが俺に仕込んだそんなあり得ない術もあるんだから、冥妖召喚術ってのはまだまだ奥が深そうだ…
…まさかこんな所で暇潰しにはもってこいの素材を手に入れるとは…
うまく行けば更にパワーアップが出来そうだな…ふっふっふ…これからが楽しみだぜ。
そんなこんなで妖怪を退治した翌朝。
…というか数時間後の朝。
今日は母さんが仕事を休みだというのでお土産を買うために車を借りる事に。
…あ、金とかメモとかは妖怪退治が終わってから影移動で取って来たよ?
……特に俺がお土産を調達してる場面で面白い事があったワケでもないので割愛。
ここで忍者が襲ってきた!とか、昔の幼馴染(女)に声をかけられた!とか、女性にナンパされた!とか…
何かしら面白い事があったら良かったのに…残念ながらそういう日常的なイベントは皆無だった。
普通に店をハシゴして、買物して、少し余った金でお菓子やら飲み物やらを買って…終了。
後は自分の部屋で買った物を研究所別に仕分けして、『柄(仮)』や金属防具一式の調整をするだけでもう夕方だ。
妖怪退治を終えてからは武器の手入れをしてたので寝る暇もなく…
寝不足のまま、また妖怪退治へ。
「ふあ~…ぁ…よいーっす」
「おお、来たか」
「あら?遠間のお兄さんなにやら眠そうですねぇ…」
母さんが作った夕飯を食べ、藍架から聞いた合流場所へと向かい…あくびをしながら挨拶すると式使のお姉さんが不思議そうに首を傾げる。
「ああ、今日は用事があってね…ロクに寝てないもんだから」
「…最近赤と一緒にフルタイムで出動してるそうで…睡眠不足も無理はないですなぁ」
「俺はつい二時間前まで寝ていたから全然だ」
「…俺はお前と違って武器の手入れや調整で忙しいんだよ」
適当に返すと式使のお姉さんは心配したように言い、式部がムカつく事を言ったので馬鹿にするように皮肉で返した。
「武器の手入れ…あの刀や斧ですぅ?」
「そう、それ…放って置いて機嫌を損ねられたら困るからね」
「…実物は大変だな…式神などそんな面倒な手間は無いと言うのに…」
俺が式使のお姉さんの疑問に答えると式部は憐れむように呟く。
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