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…つーか討伐って…モンスターじゃねぇんだからさ。



せめて退治って言い方に変えてくれ。



…まあ確かに外国では怪物や化物、魔物に魔獣の類は『モンスター』っつーけども。



「…それに式神遣い、式部赤曰く…女には絶対に手を上げない女好きの極みだとも」



…あのド変態が…!自分と同類を増やしたいからって要らん事言いやがって…!



今度会ったらタダじゃおかねぇからな!



…それまで忘れずに覚えてる事を祈ろう。



「…女には絶対に手を上げない…甘い性格のようですね…」


「…だが男には容赦が全く無いらしい」


「女には甘く、男には厳しい性格…ですか…」



なんともまあ…と男は呆れたのか苦笑してるのか分からないような呟きを漏らす。



…いやいやいや、そんな言い方されたらまるで俺がよくあるラノベの主人公みたいじゃねぇか!



見た目もキャラも立ち位置も主人公からは程遠いのに性格だけ主人公って最悪!



やっぱりアイツは殺さねば!



アイツのディスり方からは悪意しか感じねぇぜ!



俺は一応妖怪の先輩だぞ!敬えとは言わないが、悪意だけの人の評価を下げていく感じな言い方は止めろ!



「…確かにどうしようもない性格ではあるだろう、が…普通の妖怪とは明らかに違う」


「…そうですね、人間に近い…どちらかと言えば我々半妖寄り…といったところですか…」


「そう、そして私はその遠間程人が梅崎の組を潰したとニラんでいる」



…梅崎ってのがなんなのか分からんが、この前藍架に頼まれて潰したのがソレなら当たってるなぁ…



…式は出来上がってないのに答えにたどり着くなんて天才にしか出来ない事だと思うけど…



この声を聞く限りの美人なお姉さんは天才の部類に入ってる感じ?



…あ、良く考えたら天才以外に、勘がものっそい鋭い俺みたいなのでも式無しで答えにたどり着けるや。



「…そう言えば化物が二人乗り込んで来た、と言ってましたね…」


「…おそらくは式部赤も、だろうな…証拠も確証も何一つ無いから予想の域を出ないが」



…ってゆーか…こいつら俺の隠れてる部屋の前で立ち話し過ぎじゃね?



何分話してんだよ…



井戸端会議とかじゃねぇんだから廊下で話してないで部屋の中ででも話してろや。



「そうですね…ですが注意を向けた方がよろしいかと…あと、そろそろ…」


「おっと…少し長話が過ぎたか…例のアレを調べて置いてくれ」



俺の心の声が聞こえたのか半妖の男が会話を打ち切るような事を言い、女の人が何かを頼む。



「はい、お任せ下さい…では」



半妖の男の気配が瞬間移動でもしたかのようにぱったりと消えたので、音を立てずにドアを開け女の後を追う。



「…そろそろ昼食時か…んっ!?」


「ほんの数分眠っててもらえます?」



俺はポーチから睡眠液の入った小瓶を取り出して手に数滴垂らし、予想通り美人だったお姉さんに後ろから襲いかかるように口と鼻を覆って匂いを嗅がせる。



…とりあえずテンプレ通りどっかの椅子に縛り付けてから色々聞くとするか。



「どこかにいい部屋は…っと」



美人なお姉さんをお姫様抱っこした俺はボソッと独り言を呟いてなんかいい感じの部屋がないかを探す。



…ここは応接室か?…保留。



…ここは…書斎…?ダメだな、却下。



…ここは、空き部屋?何もねぇぜ…却下。



…ここは…ってさっき俺が隠れてた部屋じゃね?



お、なんか個人の部屋っぽいな…お、なんか縛るのにいい感じの椅子があるぞ。



…よし、ココにしよ。



色んな部屋を見て回った結果、結局最初?場所に戻って来てしまったっていう。



「ん…」



美人なお姉さんを椅子に縛り付けて布で口を塞ぎ終わると同時にタイミング良く目を覚ました。



「あ、目を覚ました?でもちょっと待っててね」



俺は美人なお姉さんにそう告げて上にいる半妖を先に始末するために部屋を出る。

































































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