13
「…ただいまー」
「あ、おかえりー」
一旦式部達と別れて家に帰ると、まだ電気が点いてたので…
愛梨かな?と思い挨拶すると予想外の藍架がリビングから顔を出した。
「帰ってたのか?」
「うん、今さっき帰って来たところ」
「こんな夜遅くまでご苦労だな」
俺が意外そうに聞いたら何故か藍架が近寄って来て返したので一応労いの言葉をかける。
…どうやら愛梨を拐ったヤクザどもは家の周りには居ないみたいだな…
スライムを配置してあるとはいえ、もしものために…と帰って来たが杞憂に終わって良かった良かった。
「…程人、その…ありがとね」
「ん?ああ、こっちもこっちで都合が良かったからな…気にすんな」
俺が内心胸を撫で下ろしてると藍架が恥ずかしそうにお礼を言ってきたので、気を使わせないような言葉で返す。
「あ、妖怪退治の方もだけど…特に愛梨の件、迷惑かけて本当にごめん!」
藍架はかなり珍しくしおらしく呟いたと思えば両手をパン!と叩いて謝る。
「いいよいいよ…家族なんだから困った時はお互い様、だろ?それにこの程度じゃ迷惑の内に入らねぇよ」
…でも実は藍架が仕掛けたなんらかの罠で、愛梨を拐ったヤクザの黒幕でした!的な感じだったら迷惑極まりないけど。
…流石にソレはねぇか。
いくらなんでも俺はさておき愛梨に恐怖を感じさせたりするのはありえねぇし。
万が一ソレだったらまず間違いなくやり過ぎだし、いくら俺でも怒りはしないけど注意ぐらいはするぞ。
「…ありがと」
「…ただ…恩を感じてるんなら、そのいやらしい身体で返して欲しいな」
藍架が可愛い笑顔でお礼を言ったので俺は好感度を下げるために、ゲスい笑顔でゲスい事を言う。
「…きも」
…好感度コントロールが上手くいったらしく、藍架はヒいて軽蔑したような目と態度をとり若干後退るようにリビングに入って行った。
「…ちょいと飲み物飲んだらまた出るから、鍵よろしくな」
「…え?こんな時間にどこか行くの?」
リビングを抜けて台所の冷蔵庫を開けながら言うとテレビを見てた藍架が振り返って聞いてくる。
「…後半部隊に参加しようと思って」
「え!?なんで!?」
「さっき言っただろ?こっちの都合とちょうど良いから」
ジュースをコップに注いで飲んでから答えると驚いたように聞いて来たので二杯目を注ぎながら返す。
「こっちの都合?」
「雑魚しか居ないから、命の危険とか無いし…暇潰しにちょうどいいだろ?」
「なるほどね、暇潰しかぁ…」
流石に俺が作った発明品の実戦データを取るため…って説明するのもアレなので、適当にでっち上げた思いつきで藍架の疑問を払拭させた。
…さて…家や家族の安全は確認できたし、喉の渇きを潤すためにジュースも飲んだ…
つーワケでそろそろ行くとしますかね。
「んじゃ、式部と待ち合わせしてるから行くわ」
「式部さん…って、あの人も前半部隊だったんじゃないの?」
「俺の監視だとよ、仕事熱心でご苦労なこった…じゃあな」
藍架の疑問に皮肉交じりで答えて反応を待たずにそのまま家から出る。
そしてとりあえず式使のお姉さんの家の近くに影移動した。
…アイツ式使のお姉さんを送るって行ってたけど、もう着いてんのかな?
インターホンを押して確かめようにも時間が時間だから迷惑にならないか心配だし…
一応電話にしとこ。
…つーワケで俺は式使のお姉さんの豪邸の前でケータイを取り出し式部に電話をかける事に。
「もしもし」
「もしもし?あたしゃ、今式使のお姉さん家の前に居るの」
「…メリーさん?…いや、は?今なんと?」
式使に小ボケをかますとツッコミなのかただの疑問なのか判別しにくい呟きをした後に、ちょっと間を空けて聞いてくる。
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