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「…良く分かったな」


「いつもとは全く違う戦い辛そうな姿を見ればバカでも分かる」


「…そうか」



俺が驚いたように呟くと、お前そこまで俺の戦う動きを見てねぇだろ…と思いたげな言葉が返って来たのでどうでもよさそうに返した。



「…ソレはユニオンの最新鋭の防具なのか?」


「んなワケないだろ…いくらユニオンの科学技術が世界一とはいえ、ココ異国に比べたら劣ってる方だし…なによりコレを作れる技術はねぇよ」



まあ一般人が思い至りそうな見当違いを聞いてきたので呆れたように否定する。



「…ふむ…という事は…考えられる線は一つ、程君の自作という事になるな」


「そゆ事」



式部の考えを聞きつつ金属防具一式を外し終えて適当に返す。



「…ソレは…どういうモノなのだ?」


「…は?」


「いや、さっきの動きを見ていたら興味が湧いてな」

「赤ぁ!はよぉ撤収!」



式部が不思議そうに聞いてきて、意味を理解できずに聞き返したら答えると同時に式使のお姉さんが叫ぶ。



「…撤収だとよ」


「…タイミングの悪い事だ…だが後で聞けばいいさ」



説明するのも面倒なので、ラッキー…と思いながら言うと残念そうに呟いてニヤリと笑った。



「…まさかお前も後半部隊に…?」


「程君一人では不便だろう?ソレに上からしたら監視役は必要だ」



俺はそのつもりは毛頭たりとも微塵もないがな…と、式部が敵対する気は無いですよー的な告げる。



…いやいや、『毛頭たりとも』と『微塵も』って意味的に被ってね?



頭が頭痛で痛い、的な間違った言葉の使い方感がやべぇ。



…まあ意味は伝わってるし、そもそも言葉ってのは意味さえ伝われば細かい事はどうでもいい。ってアレだからあえて突っ込まないよ?



もしかしたらツッコミ待ちかも知れないし。



「…マジか…んじゃお前に分かりやすく簡潔に言うと、ローラースケートの電動版っつーところだ」



…実際は電気じゃなくて風魔術で動かしてるんだけども。



「ローラースケートの電動版…だと?」


「厳密にはちょっと浮いてるからホバースケートだな」


「…簡潔にまとめると、自動で動くブーツ…という事か?」



式使のお姉さんの下に向かいながら適当に説明すると式部は顎に手を当てて考えるように問う。



「そうなるな、実際に使ってみりゃあ分かるさ」


「…!使わせてくれるのか!?本当か!?」


「データが欲しいから特別に使用を許可してやる…後でな、よっと…」



驚きのあまり立ち止まった式部にそう告げて式使のお姉さんが出した…召喚した?大鷲の背にジャンプして乗り込む。



「…なんの話をしてたんですのぉ?」


「取るに足らない世間話をね」


「…待たせたな」


「ふーん…では戻りますかぁ」



乗り込んだ俺に式使のお姉さんが不思議そうに聞いてきたが、適当に返すと興味を失ったように大鷲を飛ばす。

































































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