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「…じゃあなんでナターシャちゃんがまだ処女だ、って分かるの?」
「勘、あと観察してる限りの態度」
マキナの疑問に今度は首の骨を鳴らして簡潔に答えた。
「…本当に手は出して無いんだな?」
「手を出したと思ってんなら来いよ、そのふざけたツラぶん殴ってやる」
エルーの確認に俺は煽るように手を動かして、攻めて来い…的なジェスチャーをする。
「…止めなさいよ、魔物と闘う前でしょ…下手に怪我したら負けるわよ」
「…それもそうだな…今回はお前のその言葉を信じてやる」
リザリーが止めるように間に割って入り、なぜかエルーは上から目線で言い背を向けた。
「はっ、ヘタレが…」
「…んだと?」
鼻で笑ってバカにするとエルーが怒ったように振り向く。
「ヘタレにヘタレっつって何が悪い?それとも腰抜けって言って欲しいか?お坊ちゃま」
「…上等だ、お前がその気ならその喧嘩買ってやるよ…!」
「…止めなさいって言ってるでしょ…」
「もー、こんな時に喧嘩しないでよ…」
さらに煽るとエルーはキれたように剣を鞘から抜き、リザリーとマキナが呆れたように呟いてなぜか俺だけ後ろから羽交い締めにされる。
…俺にマキナだからエルーには目の前のリザリーが説得に移るんだろうよ。
「「アイツが先に喧嘩を売って来たんだぞ?」」
…お互いに制止され、言い訳が被った。
「お前が先だろうが」
「お前が煽ってきたんだろ」
「俺は売られた喧嘩を買っただけやわ」
「なんだと?俺がいつお前に喧嘩を売った?」
俺はマキナに羽交い締めにされ、エルーはリザリーが前に居る事で抑えられてるので口で言い合う。
「だから、止めなさいって」
「別に俺は止めてやってもいいんだぜ?ヘタレがヘタレらしく逃げるんならな」
「止めてもいいと思ってるんなら煽らないでよ」
リザリーの制止に賛同するようにしながら尚も煽るとマキナからも制止される。
「…お前への怒りは全てあの魔物にぶつけてやる…そしてお前の目論見を崩してやろう」
流石にこれ以上続けるとリザリーやマキナも参戦しかねないと思ったのか、エルーは背を向けて剣を鞘に納めた。
「ははっ、無理無理…勝ち負け関係無く部下と闘わせる事自体が目論見なんだから、闘った時点で目論見達成だし」
もしお前が闘わなくてもマキナとリザリーが闘えば目論見は成功だけど?と、俺はまたまた煽るように疑問系で告げる。
…本当にエルーは闘おうが闘わまいがどうでもいいんだけどね。
そもそもリザリー、マキナ、ショコラの三人の内二人が闘うだけで俺の目論見は成功になるワケで。
今回のは魔界の脅威の一端を知らしめる事が目的なんだもの。
一人だと半信半疑になるが、二人だと流石に信じざるを得ない。
マキナが苦戦した…と言っても、接近戦だからだったのでは?となり…
ショコラが苦戦した…では、接近戦か遠距離だとどうなの?となって…
リザリーが苦戦した…には、接近戦とか中距離だったら?となってしまう。
一人の証言じゃ危険性や脅威がイマイチ感じられないので、ソレを伝えるには最低二人の実体験による証言が必要だ。
そして証言する人数が多いほど危険性や脅威はよりリアルに伝わって行く。
マキナも苦戦…マジかよ、接近戦強いんだな。
ショコラも苦戦…ええ?近距離や魔術にも対応してんの?
リザリーも苦戦…嘘だろ?接近戦も出来て遠距離にも対応って…
エルーも苦戦…おいおい、超強ぇヤツじゃん。
ハルトも苦戦…ヤバくね?ハンパねぇ…
エリアも苦戦…マジで!?ヤバイやつじゃん!
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