38
「…で、その封印ってのはいつ解けるの?」
俺が部下の封印を解こうとアレコレ作業してるとリザリーが暇そうに聞いてきた。
「そろそろ」
自分がかけた封印に四苦八苦しつつ、パズルだか知恵の輪だかを解くような感じで封印を解きながら答える。
…いやー、我ながら厳重に封印してんぜ…
…コレだけで当時の俺の不安の度合いが計り知れるわ。
途中で解けたり自力で解かれたりしたらマズイもんなぁ…っと、できた。
「…フー…!」
「…あんまりやりすぎんなよ」
部下が威嚇でもするように息を吐いたので俺は両方に聞こえるように注意する。
「解けたの?」
「おう、そっちは誰からだ?」
「私!」
マキナの質問に肯定で答え、聞き返すとショコラが手を上げた。
…おっと、説明というか描写?っつーのを忘れてたな。
俺とした事が…ってのはさて置き。
今連れてきた俺の部下の一体は人型だ。
人間みたいな形だが顔が少しアレだ…ほら、なんて言えばいいか…
とりあえず顔は全然違うけど、全体的にはリザードマンみたいな感じ。
ただ頭には牛のような角があり
サメのようなギザギザな歯が並び
長くて細くて鋭利な爪が伸びていて
全身真っ黒な鱗や短い毛に覆われてて
単体の力で飛べるか微妙な翼が生えていて
人間よりも全体的に一回り大きい身体をしている。
そんな感じの見た目。
魔界出身だから種族は不明。
名称も呼び名も不明…
分かってるのは二足歩行だと思えばたまに四足歩行になる事や、ジャンプや高い所から飛び降りて短時間だけなら飛べる…っつー事だけ。
「一応殺すなよ?…まあヤバくなったら止めるから最低限のルールは守って闘え」
部下には前以て注意というかルール?の説明はしてあるので、ショコラを通じてみんなに聞かせるようにちょい大きめの声で言う。
…最低限のルールとは、禁止技を使わない事…だ。
周りに被害をもたらしまくる技の使用はマジで控えてもらわないと。
ソレが闘う上での最低限のルール。
戦いなら気にする必要はないけどな。
戦いってのはルール無用の『なんでもあり』だし。
「じゃあ行く…え…?」
ショコラはやる気まんまんで走り出そうとした所で部下に吹っ飛ばされた。
…甘いな、魔物との闘いに合図なんて無いんだよ。
「フー…!フー…!」
部下も久しぶりの全力でやる気まんまんだったのか息を荒くして飛んで行ったショコラを追いかける。
「…いたた…ええっ!?」
咄嗟の剣でのガードが間に合ってたのかショコラは抜き身のココアを手に呟いて立ち上がり…
かなりのスピードで迫り来る部下に驚きの声を上げた。
「ぎゃわっ!!」
そしてなんとか咄嗟に無詠唱で地面を斜めに鋭く隆起させて部下を串刺しにしようとするが、右側に反転するような動きで避けられて接近を許し…また吹っ飛ばされる。
「…なによアレ…動きが桁違いじゃない…」
リザリーは部下の動きを見て何と比較してるのか分からない呟きを漏らす。
「…油断してたとはいえ、あのショコラがああもやられっぱなしとは…」
「いやいや、魔物相手に油断ってする方が悪いだろ…言い訳に使うなや」
「…だよねー、でも…あんなに強いなら先に言って欲しかったなー…なんて」
驚きながらのエルーの呟きに責めるように返すとマキナは賛同しつつも早く戦いたい!と言わんばかりの笑顔でそう告げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます