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「…近距離だけじゃなく中距離まで攻撃出来るのか…?なんて恐ろしい武器を作るんだお前は…」
「いやいや、普通の武器に比べたら劣ると思うよ?」
またしてもエルーが愕然とした様子で呟くので俺は否定するように客観的な評価を告げた。
「…どこが?魔力を使わないと防御が出来ないだけで、攻撃する分には普通の武器と変わらないんでしょ?」
「このナイフを飛ばすのだって鎧を着けられたら意味無いぞ、防具を着けない奴にしか効果を発揮しないし」
「…ソレはナイフを飛ばす時だけだろう?剣や槍の時は市販の物よりも劣るのか?」
呆れたように聞いてきたショコラにさっき考えてた事を言うとエルーからも質問される。
「いや…ナイフ以外は業物と比べても遜色無い」
一応使い手によっては特殊な斬り方が出来るから、普通の武器よりは優る方だし…と、俺はナイフ以外の形態の説明に補足を入れた。
「「…特殊な斬り方?」」
…剣を使う者の性なのか…
補足の言葉に同時に興味を持ったらしいショコラとエルーがハモる。
「俺らには難しいかもな…理論上は可能だけど」
「特殊な斬り方って何?もったいぶらずに早く教えてよ!」
俺の呟きにショコラが急かすように詳細を尋ねた。
「…コレを使うとガードする時でも攻撃する時でも剣をすり抜ける…とさっき説明しただろ?」
「ああ、刃の部分は魔術で形取っているから質量の問題で魔力の量による…と言ってたな」
俺が確認するとエルーがどこからか取り出した紙を見て頷く。
「…剣をすり抜ける、って事は鎧や防具はどうなると思う?」
「…もしかして…鎧を透過して中身だけ斬れたりするの?」
「理論上は可能だ、常日頃から剣を使ってる俺らは先入観が邪魔になってイメージ出来ないから難しいと思うが」
実際に初見でその斬り方を出来るとしたらハルト、マキナ、リザリー、エリアぐらいか…?
卓越した魔術の技術はもとより、ある程度の剣の技術が無いと出来ない達人技だと予想。
…って言っても魔術師ならそんな面倒な事をするよりも魔術を使えば鎧なんてほぼ無意味なわけで…
そもそも俺、エルー、ショコラは剣でガードされてもその剣ごと鎧と身体を真っ二つに出来るだけの腕はあるから…
そんな面倒な技を使うまでも無いっていう悲しさ。
…じゃあ何のためにソレを出来るようにしたんだ?って言われても…
理論的にはこの性能なら出来る、ってだけのオマケ要素に過ぎない。
言うなれば…なんて事はない、ただの遊び心だ。
「…け、剣でのガードも鎧での防御も全く意味を成さないとは…」
「いやいや…お前驚いてるけど、お前もショコラも剣でガードされたところで剣や鎧ごと真っ二つに出来んだろ」
「…そう、だよね……なーんだ、良く考えたら大した事無いじゃん…」
驚き過ぎて言葉に出ない…状態から無理やり喋ったようなエルーに呆れたようにそう返すと、ショコラが落胆したように呟く。
「全くだよな…まあ暇つぶしの好奇心で作ったモノだし、大目に見てくれ」
「いやいや!大した事ありまくりだろう!」
俺がショコラの意見に賛同するように言い訳をするとエルーが反論するように声を荒げる。
「えー?どこが?」
「考えてもみろ、テイトの言葉が正しければコレは魔力無しでも扱えるシロモノだ…おそらく訓練次第では一般のエリート兵士でも、短期間で中の人を真っ二つに出来るようになるんだぞ?」
完全に興味を失ってるショコラがダルそうに聞くとエルーが長々と説明を始めた。
…一般のエリート兵士って…なんかもう混ざってて分かんねぇな。
しかも中の人って表現がまた面白れぇぜ。
鎧を着てる人の中身を斬る…よりも、中の人を斬る…の方が言葉が短くてもちゃんと伝わりそうだ。
…よし、俺もエルーの言葉をパクって中の人って表現を使おう。
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