20
「…もう戻ろうぜ?俺もう腹減ってきた…」
「そうだな、結果はマキナの優勝で終わったんだし…協力してくれて感謝する」
エリアの空気を読まない主人公属性によるスキルが俺らにプラスに働いた所で、ハルトがお礼を告げた。
「…そういえば…今回の闘いで無傷なのってテイトだけじゃないか?」
「……あ、そういえば」
「場外負けだったっけ?」
エルーの思い出したかのような呟きにマキナとショコラが反応する。
「しょうがなくね?だって場外の設定なんて俺とマキナの時だけじゃねーか」
「…確かに、そう考えるとテイトだけ不利だな」
「戦いは常に不平等なものだろう?今回のはより実戦に近づけた試合だから納得してくれ」
俺の言い訳にエリアが同情するように返し、ハルトも言い訳じみた事を言う。
そんなこんなで雑談しながら何故かナチュラルに俺がリザリーを背負う事になり、研究所へと戻った。
「さて、飯は何にするか…」
「今から作るのも怠くね?」
「それもそうだな…よし、デリバリーにするか」
「「「「賛成!」」」」
俺の言葉にハルトが少し考えてからそう告げるとリザリーを除いた女性陣が手を挙げてその提案に乗る。
「…女を呼ぶんじゃないぞ?」
「は?」
「…チェンジで」
「ぶふっ!」
エルーの小ボケにエリアが意味分からなそうに首を傾げたので、俺がジェスチャーしながらボケに乗っかるとその意味を分かったハルトが笑いを堪えられずに吹き出す。
見た目は美人でもアレが付いてて中身が男とか地雷過ぎるわ…
でも初見なら脱がすまで分からないしなー…脱がした後でもチェンジはできるのか否か。
…流石に脱がした後だと料金かかるかな?
でも詐欺に近いからどうだろ…?
実はすっげぇちっちゃい字で『男の娘』って注意書きがあったりしたら…と考えたら怖ぇ。
「…あれ?程人さん戻って来てたんですね」
トイレに行こうと廊下を歩いていたらクレインと遭遇。
…あ、そういやコイツも居たんだっけ…
「今さっきな…そういや出前取るらしいけど、なんか食う?」
運良く部屋から出たばっかで出前の注文はまだしてないハズなのでとりあえず聞いてみる事に。
「え?あ、はい…良ければお願いします」
「おーい、出前一人分追加で」
俺は少し戻って部屋のドアを開けるとそう告げてクレインの手を取り中に招く。
そして中の奴らの反応を見る前に廊下に出てドアを閉め、トイレへと向かった。
…良く考えたら出前なんて超久しぶりじゃね?外食はするけど出前を取るって中々しないし…
選ぶのが面倒だからなんでも良いって言ったけど…やべぇのがきたらどうしよう…
あいつらの出前のチョイスに内心ちょっと不安になりながら手を洗って部屋へと戻る。
…む、殺気…?
ドアを開けようとドアノブに手をかけた所でよからぬ気配を感じ、手を離して少し後ろに下がった。
…この感じは…もしかして、クレインか?誰か特定に向けた殺気では無さそうだが…
中に入ろうか迷ってると、感じた気配があいつらとは違い…昨日だったかの双子の気配とも違うため…
俺の思考は消去法でクレインに思い至る。
「…なにしてんだよ?」
…一応何かあった時のためにすぐ動けるように最小限の心構えをしながら部屋の中へと入った。
「あ、いえ…ちょっと教えてもらった技を見せて欲しいと言われたので…」
クレインが俺の問いに焦ったように返すと殺気のような気配が消える。
なるほどね…あの殺気みたいな気配は俺が教えた魔術を使おうとして、か…
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