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「惜しい、着替えを取って来いって言われてな」
「ええ…冗談で言ったつもりだったのに…」
ボケが当たらずも遠からずな感じになったからか…ショコラは微妙な顔になる。
「まあ普通は違ぇよ、ってツッコむわな」
「こっちだよ…ん?…なんかていとから女のにおいがする…?…何かあったの?」
適当に返すと何故かショコラは一旦背を向けたにも関わらず、振り返って俺に近づきクンクン…と匂いを嗅いで問う。
「?シャンプーとかボディソープの匂いじゃね?」
俺は自分で匂いを嗅いでみるも風呂で使った石けんや洗髪剤の匂いしかしない。
「違う違う、そんな匂いじゃなくて…なんて言えばいいのかな、フェロモン?みたいな雌のにおいのような感じ」
俺が聞き返すとショコラは首を横に振って感覚的な説明をした。
「雌の匂いて…まあ同じ空間に居たからな、女性の性フェロモンみたいなのがくっついたんだろう」
少し呆れたように軽くツッコみながらそう言い、部屋に向かう道中にさっきの事をショコラに話す。
「…なんだ、研究員の性処理か…」
…え?なんでそんな大した事じゃない、みたいに言ってんの?
男と女ならまだしも同性同士だぜ?
しかも友達とかじゃなく仕事上の付き合いでの知り合い…みたいな関係で、なのに。
「こんなん良くある系?」
「うん、なんせ研究所に勤めてる研究員達はずっと研究漬けだから」
「…あー、恋愛とか恋人とか出来ない感じ…」
一人で発散出来るだけの性欲って一応限られてるらしいし…
だからリザリーが相手をしてあげてたってワケね。
俺はショコラの返しに多少納得したように頷く。
「一応エルーとかハルトも道具を使って相手をしてるらしいよ?」
「え…?男に…?」
「違う違う、女子に」
ショコラが言葉を今の話しの流れ的に意味を汲み取ってヒきながら聞くと、笑いながら否定される。
「あ、ああ…女子、女子か」
いやー、エルーとかハルトが男に道具を使って相手してたらどうしようかと思っちまった…
流石にそうなると付き合い方を変えざるを得なくなるからな。
今までと同じなんて無理っしょ。
「本番もヤってるのかな?道具だけ、ってしか聞いてないけど…」
一応女子研究員はみんなゴム持ってるみたいだよ?とちょっと考えるようにショコラが言う。
「…ヤってたとしたら羨ま死刑だな、この前みたく俺の理性がプッツンするかもしれん」
「この前…?…あーあー!そういやマキナ達から聞いた!ていとってばエルーにキレたんだってね!」
俺の呟きに首を傾げたと思えば思い出したかのように面白そうにはしゃぐ。
「…あの時はなんでキレたんだっけ?」
なんかあったような気もするけど…内容は覚えてねぇな、とりあえずキレて軽くバトったって事しか記憶にねぇや。
「え?覚えてないの?マキナ達からは胸を揉んだとか聞いたけど…」
「…思い出した、あの野郎毎日マキナやリザリーの胸を揉んでるとか聞いてな」
流石の俺もプッツンよ、と今思い出してもイライラするのでちょっと不機嫌そうに返す。
「いやいや、それだけで?私なんてエリアにもっと凄い事されてるよ?」
着替えを覗かれたり、裸を見られたり、股間に顔を埋めてきたり、トイレの最中にドアを開けたり…とショコラはエリアのラッキースケベの被害談を話し始める。
「あいつは…昔からそうだろう?そろそろ慣れたんじゃないか?」
「慣れない!いっつも油断してるタイミングで来るんだよ!?身構えてたら来ないくせに!」
俺が諦めてるように投げやりで言うと怒ったように返してきた。
「…裸なんてもう見られ慣れてるだろう?」
「突然いきなり、心の準備も無く見られてもそう言える?」
「…すまん」
俺の言葉にショコラが噛み付くような疑問形で言って来たので、少し想像して謝る。
確かに風呂入ってる最中やトイレの最中にいきなり女の子が入ってきたら焦るな…
一人でのんびりとリラックスして油断してる時ならなおさら。
…会話が途切れ、歩く事二分。
「ここだよ」
「…ついでに服とか下着を取って来てくれね?」
ショコラに案内され、着いたドアの前で俺はそう頼む。
「貸し一ならいーよ?」
「…自分で取ってくる」
「あはは!冗談だってば、じょーだん」
ショコラの可愛らしく小首を傾げた様子での提案に理性が揺さぶられてつつも断ると、笑いながら部屋に入って行く。
…うーむ、断られたら思いっきりセンスのダサいような組み合わせで持って行こうと思ったのに…
センスの良い服が集まってるとは言え、上下の組み合わせ次第ではダサく見えるハズ。
…でもリザリーは元が良いからな…ダサい組み合わせでも可愛く?カッコよく?クールに?…とりあえず全然気にしてない感じで着こなしそう。
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