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アレは俺が三回目の王様に選ばれた後だったかな?



命令しようとしたら双子が眠いだのなんやかんやあって…ゲームは終了。



また明日。で、さあ解散!ってなった時。



何故か全寮制の学園に通っていたクレインが研究所を訪問して来た。



どうやらリザリー達に会いに来たらしいが俺はその間に宿泊部屋に居たので、何かあったとしても分からないワケで。



…とまあそんなこんなありーの。



なんとなく研究所の外に出て、なんとなく夜風にあたってるとクレインが俺ん所に来たっつー事。



そんでもってさっきの話の冒頭に戻る…的な感じ?



正直、俺にそんな事を言われても…って思う。



頼るのが俺しか居ないってんなら分かる。



でもリザリーもエルーもマキナも居るんだぜ?…なぜに俺?ってなるだろ?



リザリーからは魔術、エルーからは剣術や武器の扱い、マキナからは体術…と俺の入り込むスキマなど無いにも関わらず、だ。



おっと、トランプゲームや罰ゲームのアレコレは省かせてもらうぜ?



引き伸ばしだの、展開稼ぎだの、つなぎだの言われたく無いんでな。



…決して言うのが面倒だからじゃないよ?



言葉での説明が絵で見て表現するよりもちょこっとだけ大変だから省くとか、そういうんじゃないからね?



…ホントだよ?



「…程人さん、本当に、お願いします」



俺が短い回想を終えると同時にクレインは芝生に膝をついて頭を下げた。



…手は膝…ふとともの上だから土下座とは違うけどその一歩手前的な感じ?



「…お前のそのお願いを聞くには俺からも聞かないといけないことがあるんだが」


「なんですか?」


「さっきからずっと言ってたけども、なんで俺なの?」



まるで昔の俺を見ているようなクレインのしつこ…執念に半ば折れるようにして問う。



「姉さんや兄さんに言われたからです」


「…リザリーやエルーに?」



なんでまたあいつらが俺を推すんだ?マキナがどっかに出張してて居ないんならまだしも…



今のクレインを鍛えるのに俺がマキナよりも勝ってる部分って無いような気もするが…



「はい、『一般的な魔術の分野なら私達が専門だけど、ソレ以外の分野の魔術なら程人に聞いた方が良い』…と言われました」


「…なるほど、ね」



『ソレ以外の魔術』。



つまりは俺が研究して辿り着いた強化魔術や治癒魔術と言った補助系統の魔術の事を指してるワケね。



…つー事は、今のままではリザリー達が教授した所で戦えるレベルに無い…って事だろうな。



かと言って体術が短期間で身に着くかも分からないし、そもそも身体の基礎すら作れない。



だから補助的な魔術でその欠点を補おう…と。



…なんで俺が?と思ってたがクレインの説明で一気に納得出来たわ。



「俺の秘技的な奥義っぽいモノを伝授して欲しいのか…」


「お願いします!」



俺がアゴに手を当てながら呟くとクレインは芝生に膝を着けたまま再度頭を下げて頼み込んでくる。



「…先に言って置くけど、生半可な覚悟じゃ習得出来ないと思うよ?」


「…大丈夫です、覚悟は出来てます」



俺の言葉とは裏腹のやる気無さげな言い方に、クレインは睨むように力強く見て返す。



「…まあそれなら良いけどさ、つーか使えなかった俺が言える事じゃねぇか」


「…え?」



頭を掻きながらそう漏らすとクレインも驚いたように言葉を漏らした。



「いや、だって俺…魔力無いじゃん?そもそも魔術自体使えないんだよね」


「…あっ!!」



だから覚悟とか…とボソッと呟いた言葉がクレインの今気づいた、かのような叫びにかき消される。



…一応俺が使えなくても伝授してクレインが使えるようになるのは可能…なのかね?



あの界王様が主人公に授けた、力が倍増するといううんたら拳とか…なんたら玉みたいな。

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