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「…おおっ?これは…!」
更衣室というか別室で着替えてもらってきた軍服姿のお兄さんとおじさん+αどもは少し動いて驚いたような顔になる。
「ふむ…手や足までぴっちりとしてるから多少の違和感はあるが、動きに支障は無い」
「それどころか動き易くなっているような気さえしますね」
「こんなピッチピチで張り付いてる割には結構動きに不自由が無いな…」
おじさん達はストレッチのように身体を動かしながら1stの感触を確かめていた。
「一応筋力とかを強化するスーツだからね、ソレを着けてたら普段の約1.2倍ほど強くなれるよ」
「…普段の1.2倍、だと…?」
「確かめてみる?」
ショコラはおじさんの疑わしそうな言葉にニヤリと笑って聞き返す。
「…どうやって?」
「実際に闘ってみれば分かるよ…というわけで、やっちゃえノウン!」
「…は?」
ショコラは急になんの脈絡も無く俺に振ってきたので状況を理解出来てないような声が出る。
「…実際に闘ってみれば分かる、と?彼はそのために?」
「うん♪」
おじさんの疑問にショコラは可愛く頷き、分かってるでしょ?と俺にアイコンタクトで伝えながらウインクした。
「いやいや、こんな軍人様に俺が勝てるワケないだろ」
「別に勝てって言ってないよ、動作テストになればいいんだから」
勝てないのは当たり前分かりきってるし…と言うショコラと小芝居を打ち、俺はその場から少し離れる。
「…いいのか?」
「見た目よりは頑丈だから死なない程度なら思いっきりやっても大丈夫」
「…ええー…いやまあ動作テストだけど、手加減してくれよ…」
おじさんはショコラに確認を取り、怠そうに言って構えた俺を見て構えた。
「…では、行くぞ!」
「…っ!?」
闘いの始まりを告げたおじさんが走り出し、一応俺は驚いた振りをする。
…筋力強化されてもその遅さかよ、へっぼ。
「シッ!」
「ぐっ!」
おじさんの軽い一撃をなんとかガード出来た…的な演技をしつつ、結構な衝撃を受けたような呻き声を出す。
「おおっ!?身体が…軽い!いや、軽いだけでは無い…!」
「うっ、くっ…!」
おじさんは驚きながら遅い隙だらけの連打をしてきたので…俺は精一杯頑張ってなんとかガードしてますよー的な振りをした。
…こりゃあ演技するのも楽じゃねぇぜ…
俳優みたいになりきらないと、役に浸からないと直ぐに演技だとバレてしまう。
…だってこのおじさん、強さが一般レベルだもの。
甘めで言うならユニオンの中等部と同じぐらいじゃね?
攻撃は遅い、軽い、隙だらけの三拍子揃ってるただの雑魚だし。
強化スーツを着けてのコレはキツイなぁ…
まだコッチに駐留してるであろうユニオンの兵士達に渡した方が良いかも。
コイツらだと豚に真珠、猫に小判だよ。
…ユニオンの軍人なら鬼に金棒だろうけどね。
「そこだ!」
「ぐふっ!!」
ワザと隙だらけの素人を演じたガードをしていたからかボディーブロー気味に殴られる。
「あ…か…!」
「…これは、凄いな…!」
俺がかなりのダメージを受けた…的な演技をしながら腹を押さえてうずくまっていると、おじさんは手を見て喜んでいた。
いやいや、あんな弱い攻撃を一発食らわせた程度で喜んでるお前の方が色んな意味で凄ぇよ。
…まあコレも俺のスーパーな演技力の成せる事…というかおかげ、と言うか…
「うん、性能は問題ないみたいだね」
「コレはぜひ個人で欲しい物だ…」
「部隊のやつを一着貰えば?どうせ誓約書で他言すら出来ないんだし」
「え!?」
おじさんへのショコラの返しに軍服姿のお兄さんが驚いたように振り向く。
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