12
「…すみません、少し早く着き過ぎたみたいです…5分ほどお待ち下さい」
軍服姿のお兄さんは辺りを見渡すと不思議そうに時計を見て謝ってきた。
「えー?5分もー?」
「すみません…急な納品でしたので、都合を合わせるのが大変でして…」
怠そうなショコラの言葉に軍服姿のお兄さんは頭を下げて再度謝り、言い訳をする。
「…5分ぐらい待っといてやれよ」
「えー…だったらもう5分、待ち合わせの場所に遅れて来ればよかったのに…」
「すみません」
俺の言葉に拗ねたような、納得いかない感を出して呟いたショコラにまたしても軍服姿のお兄さんは謝った。
「はぁ…仕方ない、最終チェックでもしとこう」
ショコラはため息を吐いて特殊金属で出来た箱を開けると、中からビニールと気泡緩衝材に包まれた服を取り出す。
…あ、気泡緩衝材ってのはあのプチプチと潰して遊べるやつね。
服ってのは言うまでもなく…なんとかファーストってやつ。
「もう届いたと言うのは本当かね!?」
ショコラがビニールからスーツを取り出すとなにやら騒がしい音と共に数人の男と、興奮状態のおっさんが叫びながら入って来る。
「…!これは、軍事参謀…!なぜ、ココに…?」
「ユニオンから最新鋭の装備が搬入されるとなれば下の者達だけには任せては置けんだろう!」
驚いたような軍服姿のお兄さんの問いにおっさんは無駄にテンション高く答えた。
「伍長、そういうワケだ…イレギュラーではあるが、我々も性能テストに参加させてもらうよ」
「少佐…!我々だけでは不安でしたので、ありがたい申し出でございます」
50代おっさんの後ろに控えていた30代のおっさ…おじさんがそう告げると軍服姿のお兄さんは驚きながらも敬礼する。
「それで?そのブツはどこかね?」
「あの女が手にしてる物ではございませんか?」
「おお!それか!」
急かすようにキョロキョロと辺りを見渡してるおっさんにおじさんが手を向けて示す。
「伍長、参謀に品の説明を」
「はっ!今回納品されて来ましたのは…」
俺らを蚊帳の外にして軍服姿のお兄さんはおじさんに促されるまま説明を始めた。
「…どうやら人が増えたみたいだね…」
「そのようだな…」
おそらく護衛であろう軍服にサングラス、インカムを付け…剣や槍で武装している男達を見ながらショコラとコソコソと話す。
「…どうせなら7人しか居ないけど、もう始めた方が良いんじゃないかな…?」
「確かに…」
「もう始めても良い?」
俺が賛同するように呟くとショコラは直ぐに説明を続けてる軍服姿のお兄さんに聞く。
「…あと3分、お待ちいただけないでしょうか?」
「君の部下達はまだ来ないのか?」
「はい、訓練中でしたので…」
「…420分隊、ただいま到着しました!」
軍服姿のお兄さんが時計を見ると丁度ドアが開いて息を切らした青年?青少年?がおっさん達を見て報告するように叫ぶ。
「遅いではないか!何をモタついていたのだ!」
「す、すみません…コレでも急いで走って来たのですが…」
「それにまだあと二分ありますし…」
「言い訳をするな!軍人ならば5分前行動が基本だろうが!」
「それはスケジュール通りに行動する場合じゃ…」
おっさんが怒るも軍服姿のお兄さん達の部下は納得いかなそうに言い訳をする。
「ええい!この私に口ごたえをするつもりか!?伍長!お前の隊は教育が足りないようだな!」
「い、いえ…決してそのような事は…!」
「どーでもいーけど、長引くなら帰っていい?」
おっさんの怒りの矛先が軍服姿のお兄さんに向いたので俺は面倒くさそうに言う。
「…そうだね、今から説教とか始められても困るしー…」
「な…!す、すまない…今回の件は不問にしよう!次からは気をつけろよ!」
「「「イエッサー…」」」
ショコラが1stを箱にしまいながら呟くとおっさんは焦ったように話を打ち切った。
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