30

「くっ…爆え…」

「黙レ!」


「っ…ぁ…!?」



技を放とうとした少年にバンダナが命令すると声が出せなくなったのか口をパクパクさせた。



さすがに唱えないと技が出せないのか少年はただ剣で斬りかかるだけになる。



「キヒ…ヒヒヒ…!楽シいナア!!」



女の子と少年、二人を一つの剣で相手にしながらバンダナが声を上げて笑う。



「…そうか…なら…」


「ギヒッ!?」



無詠唱の土魔術で地面をちょっと針状に隆起させるとソレを踏んで一瞬動きが止まった。



「…!スキ、あり…!」



少年と女の子がその一瞬の硬直を見逃さずに斬りかかる。



「吹き飛ベ!!」


「がっ…!?」


「くっ…!」



両目に魔法陣が浮かび上がったバンダナが叫ぶと二人が弾かれたように後ろに吹っ飛ぶ。



「ふ…う…危ナかったゼ…」


「…どうかな…?サイクロン」


「なっ…!?」



一息吐いたバンダナに風魔術を使うと驚いたように巻き込まれた。



あの二人が近くにいたら限られた魔術しか使えなかったんだよねー…ラッキー。



「ぐ…ヌ…!う…!消え、去レ!!」



…おいおい、魔術にも効くんかい…その命令。



バンダナの命令で消えた魔術を見てちょっとびっくり。



「うおお!爆炎剣!烈破火炎衝!」


「オ前ジャ足リなインダヨ!」


「…がはっ…!?」



…少年が頑張って技を放ったのに、余裕で避けられた挙句にカウンターを食らうっていう。



しかも手加減されたのか柄で殴られてるし。



「…今だ…!」


「ソウダ!オ前で来イ!」



女の子が完全に隙を突いた攻撃をしたにも関わらず剣でガードされる。



「…!っ…!」


「ドウしタ!ソんナモンカ!?」



両手のナイフで素早く斬りかかってるのに…



人相が変わったバンダナにことごとく剣でガードされていた。



…あっれー、女の子が攻めてるハズなのに逆に追い詰められてるってどゆこと?



バンダナが余裕で、女の子は必死だからか、全く真逆の展開になりそうな気配がする。



「フレイムスピア」


「オオッと…クク、ヨうヤク溜マっタカ…」



炎魔術を発動させ火の槍を飛ばすも俺まで警戒してたらしく、待ってました…といわんばかりに避けられた。



そしてバンダナは何かを企んでいたかのような事を呟く。



「さア、ショータイムといこウじゃナイカ!」



バンダナは受けから攻めに転じるように女の子のナイフを弾いて斬りかかる。



なんとかもう片方のナイフで受け止めるも吹っ飛ばされた。



「リルディゲルシュ…フィリュリョディマイ…セルシュミルゲ!」



バンダナが意味不明な言葉を喋ったと思えば空中に魔法陣が浮かぶ。



その地面から3mほど浮いている魔法陣が4つに分裂し移動を始め…



一つからは雷が落ち

一つからは火柱が立ち

一つからは氷の矢が降り

一つからは小規模の竜巻が。



しかも魔法陣はランダムに移動しながら魔術による攻撃をしている。



…んだコレ?ゲームかよ…なんのパクリだ?



結構凄い魔法っぽいがどっかで見たことある光景のため呆れてため息しか出てこない。



「当タっテモ、死ニはシナイサ…ソウ簡単に死ナレタラ楽しクナイかラナ!」



…怠ぃ、アレからなんとかしないといけないパターンのやつ?



あのバンダナめ…面倒な事しやがって…!



女の子と少年がやられたら見てろよ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る