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くっそ、やっぱりそう都合良くはいかんか…



つーワケで青年に案内されるがままに後をついて行くと…



「ダリアンさん!」



あの少年が女の子と共にどこからともなく走ってくる。



何故かその後ろから見知らぬおっさんがついて来てるのだが…



「ああ、ローン君…ちょうど良かった」


「街の様子は!?」



少年は乱れた息も整えずに食ってかかる勢いで青年に質問した。



「ああ、魔獣の群れに襲撃されたけど…この人のおかげで被害は出ずに済んだよ」


「良かった……ってナナシさん!?」



状況報告を聞いて胸を撫で下ろしたかと思えば青年の後ろにいた俺を見て驚く。



「ナナシさんが魔獣達を倒してくれたの?」


「…ああ、なにやら騒がしくてな…」


「…ここにいる…って事は、伝言聞いた…?」



あの伝言はこの女の子のアイディアだったのか首を傾げて聞いてくる。



「…ああ」


「へぇ、この人がナナシって人かい…どうも聞いた話と違って頼りなさそうだ」



女の子の質問に頷いて答えると見知らぬおっさんが品定めするような目をしながらそう言った。



当然面倒事は勘弁なので聞いてない振りをしてシカトしたが。



「…人は、見た目によらない…」



せっかく流して見知らぬおっさんの言葉を滑らしたのに女の子が庇うような事を言う。



「まあ確かに嬢ちゃんのいう事も一理ありんす、こんな子供でもあそこまで戦えてたし」



ソレに対し見知らぬおっさんは変な喋り方で返す。



…もしかしてその喋り方がデフォなのか?



…違うよな?ネタ的に狙ったもんだよな?



「…とりあえず、状況の説明を…」


「うん、でもギルドに報告してからでもいい?」


「…構わん」



直ぐそこだからさ!という少年の言葉に賛成してみんなでギルドに向かう。



「お帰りなさい、あら…そちらの方は?」



ギルドの中に入るとセクシーな格好をした美女が迎えてくれる。



「あ、カーラさん…エナーダさんは?」



どうやらこのセクシーなお姉さんが受付の担当では無いらしい。



…今聞いた名前から察するに受付担当の人も女性である可能性が高いな。



「今はお出かけ中、だから私が留守番を頼まれちゃった」


「相変わらずカーラちゃんは美人やな~…カーラちゃんを見る度に同じギルドで良かったと心底思いますわぁ」


「ありがと、でも毎回言ってるように私は中年には興味無いの…それよりその人は?」



おっさんの口説き文句?をさらりと流してまたしても俺を見て質問した。



「…俺は、ナナシだ…以後よろしく…」



本当ならこのお姉さんを今すぐ食事にでも誘いたいがキャラ的に無理なので断念。



くっ…!仕事じゃなければ…!



「…あなたが?…想像してたのと大分違うわね…」



…一体この少年達からどんな話を聞いてるのかセクシーなお姉さんもおっさんと同じ事を言う。



「…どのように、聞いている…?」


「物静かで頼りになる魔術師だ、って…」


「しかも剣の腕っぷしもある、と聞いたでぇ?」



否定も出来なければ肯定も出来ない微妙な話し振りにどう返せば良いか迷ってしまう。



「…魔術師としては普通だ…剣も得意では無い…」



要らん事を言いやがって…と思いながら少年を見ながらとりあえず地味に否定する。



「でも!俺よりは強かったじゃん!」



と、少年がまたしても要らん事を言った。



「…今のお前には勝てんだろう…アレが使えるのだからな…」



強い、使える、頼りになる…とか勝手に期待されたら動き辛いので評価を下げる方に持っていく。



「…とりあえず…戦力としては、十分」



微妙な空気に包まれた中で女の子がそうまとめる。



「まあ嬢ちゃんがそう言うんならなぁ…」


「…貴方、魔術師なのよねぇ?」


「…ああ」


「…ならなんで髪の色が黒なの?」



セクシーはお姉さんは首を傾げて俺の髪を指差す。



おお、ようやく指摘されたか。



今まで誰も何も言わないからみんなソレで納得してると思ってたけど…



やっぱり常識がある人には気になる事なんだな。



「…コレがかつらだからだ」


「「ええっ!?」」


「!?…びっくり…!」



俺のカミングアウトにおっさんと少年が声を上げて驚き、女の子は目を見開いて驚く。



「…本当の髪の色は赤でな…目立つのが嫌だから、刈ってコレを着けた」



もちろん100%嘘だが目の前のコイツらには分かるまい。



「…なるほど、その手が…」


「本来魔術師は髪を染める事など許されない…が、かつらを被る事は規則に反しない」



このもっともらしいでっち上げは少年の村に行く時に考えついたモンなんだけど。

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