7
「…あれ?」
あの宿屋に戻ると少年と女の子が居ない。
この村には宿屋が一つしか無いから泊まってる場所を間違えるハズがないのに。
「あ、もしかしてあんた…ナナシさんかい?」
「…そうだが…」
宿屋から出ようとしたら受付の人がさっきと変わっており、俺に話しかけてきた。
「お仲間さんから伝言を預かってるよ、先に次の街のギルドに行ってる…だそうだ」
「…そうか、わざわざすまない」
受付の人にお礼を告げて宿屋を出る。
マジかよ、まさか先に行ってるとはなぁ…
…ってかあの二人で大丈夫なのか?
ココから先は多分魔獣達も前よりも強くなってるハズだぞ?
まあ俺からしたらこの国の魔獣なんてみーんな雑魚なんだが。
考えながらも森に向かって歩き、さっき影移動して来た場所に戻った。
次の街ねぇ…とりあえず街外れに行ってみるか。
まだ能力が使える状態なのか微妙な感じだったがどうやら使えたらしい。
少年達が行ってると思わしき街の外れに影移動してから街の中に入る。
「きゃー!」
「うわー!」
「怪我人を避難させろー!」
街の中に入って少し歩くと前の方から悲鳴やら怒号が聞こえてきた。
…ん?なんか騒がしいな…お祭りでもしてんのか?
不思議に思いながら声のする方に歩いて行くと…
軽鎧を着て頭をスッポリと覆うマスクを付けた戦闘員?らしき人達と魔獣が暴れている。
ほう?どうやら何かしらのイベントの発生中だったっぽいな。
街の人達を襲っている魔獣や戦闘員?らしき人間と戦ってるのがおそらくギルドの人達だろうよ。
「危ない!!」
状況を把握しようとしてる最中に戦闘員?と魔獣が俺に襲いかかってきた。
「ぐああ!!」
戦闘員?の方は無詠唱の雷魔術で痺れてもらって、魔獣の方は無詠唱の炎魔術で燃やす。
「…まだ死なんか」
炎に燃やされながらもまだ生きている魔獣を見て更に火力を上げる。
「ギャ…!」
色が赤から青に変わると数秒して魔獣は消滅した。
「…主に仇なす愚か物共に天なる裁きを与え給え、ライトニング」
また襲われてもアレなので先手必勝的な感じで中級の雷魔術を詠唱する。
魔術が発動すると周りにいた戦闘員?や魔獣に雷が落ち数秒間帯電して消えた。
「おお!!今だ!一気に片付けるぞ!」
魔獣達は結構なダメージを受けたもののまだ生き残っているが、戦闘員?達は全員倒れている。
…多分死んではいないと思うけど…威力の調整に失敗してたら死んでてもおかしくはないな。
流石に一人ぐらいは生き残っててくれないと情報が手に入らんぞ…
「助太刀感謝します!」
ギルドの人達が倒れている戦闘員?達を拘束するとその中の一人が近づいてきた。
俺はワザと無視してキョロキョロと辺りを見渡す。
「…?誰かお探しですか?」
こういう騒ぎが起きれば真っ先に駆けつけると思ったんだけど…
姿が見えんな…つー事はもしかして違う街に行っちまってんのか?
「…これぐらいの少年と、少女を探してるのだが…来なかったか…?」
目の前にいるギルドメンバーらしき人に手で身長を示すようにして質問する。
「!もしかして…ナナシさんですか?」
「…そうだが…」
「ローン君とメルトさんから話は聞いてます」
…という事はこの街で間違いなかったらしいな。
この反応を見る限り都合良くあの少年が招集されたギルドに所属してるメンバーっぽい。
「ローン君達は現在プレユートギルドに所属しています、こちらですね」
が、どうやら目の前の青年はあの少年が所属しているギルドとは別のギルドに所属してるらしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます