32
どんな技かは少年が使ってみてのお楽しみ♪
と、言いたい所だがなんの変哲も捻りも無い良くありげな技だ。
有り体に言えば、『覚醒の技術』って所かね。
ルビ的には技術(ちから)…かくせいのちから。
…おっと、厨二っぽいとか言うなよ?
少年の秘められてる能力…力を一時的に限界近くまで引き出すんだから覚醒以外表現の仕様が無いじゃないか。
厨二以外の言葉で表すなら…『引き出しの技術』?
「…来たか」
内心色々と思いながらも木の枝で地面に魔法陣を描いてると…
ちょうど描き終わった時に少年の走ってくる姿が見えた。
「はぁ…はぁ…やっと…見つけた…」
詳しい場所は伝えて無かったから探して走り回ったのか少年は息を切らして膝に手を着いている。
「…始めるか…真ん中に立って目を閉じろ」
「はぁ…はぁ…真ん中…?…ココか」
少年は息を整えながら俺の言う通り魔法陣の真ん中に立って目を瞑った。
「…俺が良いと言うまで集中し…」
説明の途中でポーチに入ってる小型無線機がバイブする。
…なんだよこんな時に…今は声変えてるから出れねぇし。
「…んんっ…精神統一のように集中しろ…」
「精神統一…?」
目を瞑りながらも少年は眉を顰めて怪訝そうに聞いてきた。
「…ああ、これからお前に授ける技は俺のとっておきで…かなり難易度が高い」
「…ナナシさんのとっておき…?…分かった!」
少し考えたのに軽く興奮したように返事して強く目を瞑る。
すると一旦止まった小型無線機がまたバイブした。
んだよ…今珍しく忙しいんだから後にしてくれよ。
誰か分からん電話の相手に内心軽く悪態を吐きながら刀をほんの少し抜いて指先を当てて切る。
そんで血を舐めて『血を操る能力』を使えるようにして呪文を詠唱した。
特殊な魔術が発動すると同時にまた刀を少し抜いて指先を切り、出てきた血をかなり細い糸みたいな針状に変えて少年の首に突き刺す。
さてさて…強化魔術にプラスで脳を弄って、っと…
そして5分後。
「…ふぅ…終わりだ」
「…え?もう?」
「…ああ」
少年は拍子抜けしたように疲れてため息を吐いた俺を見る。
「…???何の技だったの?」
「覚醒の技術だ…とりあえず俺が今から言う事を復唱しろ…」
俺は木に寄りかかって怠そうにそう説明した。
「?覚醒の…ちから…?」
「…一時的ではあるが、使用者の身体能力と魔力を倍近く跳ね上げる事が出来る…」
「うそっ!?ソレって…!」
「だが…その反面身体への負担が大きく消耗が激しい…という欠点がある」
とりあえず技を使用する前にメリットとデメリットを教える。
「負担…消耗?」
「…ああ、今の少年では保って10分って所か…」
15分超えれば全身の筋肉や骨が傷付き、20分を超えれば五体満足ではいられなくなり…25分を超えれば死ぬ…
一応10分という限界を超えた場合はどうなるか…も説明した。
「10分…」
「…とはいえ限界は実際に使って己で判断するのが一番だがな…」
「…うん」
諸刃の剣である技の詳細を聞いて少年はゴクリと生唾を飲み込む。
「…いくぞ…『覚醒の技術…サイコブレイブ!』」
「えっ!?か、覚醒の技術…サイコブレイブ!」
いきなりの詠唱?に戸惑いつつもオウム返しのように復唱した。
「お、おお…!なんか力が溢れてくる気がする!」
「…発動を解除する時は意識的にスイッチを切るような感じだな…魔術を途中で止めるような…」
「意識的に…魔術を途中で…」
俺の言葉を聞いてボソッと呟くとおそらく解除に成功したんだろう…少年が弱くなった気がする。
「…コレで技の伝授は終わりだ…」
「ありがとうナナシさん!よーし…早速この技を使い熟すために特訓だ!」
新しく取得した技を使いたいのか少年は直ぐさま走り去って行った。
…ふぅ、疲れたわぁ…でもコレでかなり修行の時間は短縮されただろうよ。
でもまあ、実際覚醒の技術なんて技は少年が強くなればなるほど効果が弱くなっていくけど…
それでも今の少年からしたらかなりありがたい技で重宝するハズ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます