23

「国を救う英雄…!すっげ、俺もそうなれるように頑張らないと!」



流石は主人公属性持ち(強)と言うべきか…



国(小国)を救う英雄に憧れてやがる。



名を上げれば上げる程死に近づく…っていう現実の真理を知ってる俺からしたら滑稽でならないぜ。



つまりは死ぬ為に努力するっつー事だろ?



無駄な頑張りだとしか思えんがね。



それに…この小国を救える程強くなったとしても、世界的な強者ランクには入れないよ?



今の俺でさえ18~20位ぐらいの位置なのに。

(魔王軍の面々を除いたランクで)



魔術無しだったら堂々の第一位なのに…くそぅ…



俺、実は相棒を使っての戦いでも今なら世界トップの実力ってば。



なのに魔術ありになるとTOP10どころか下手したらTOP20位圏外っていう。



恐るべし魔術。



いかに魔術が反則的で強大な力か分かるだろう?



…なぜ天は俺に才能を与えてくれなかったんだ…



「良からぬ組織も動き出してるからあまり無茶しないように程々にね」


「アスインさんありがとう、で…どこの手伝いに行けばいいの?」



中級に上がって条件を満たした事を知ったからか、少年は自信あり気にさっき説明された事を再度聞く。



「隣のカランド地方だよ、あっちに話は通しておくから」


「よーし!英雄目指して頑張るぞー!」



受付が笑いかけると少年は意気込みなのかチープな目標を叫んで走って出て行った。



…最初の目標はギルドのランク上げだったのにこの短期間で随分と高くなったモンだな。



慌てて少年を追いかけて走って行った女の子を見送りため息を吐いてゆっくり歩きながら後を追う。



…あ、そういやカランド地方って確か危険度B指定の場所がある所じゃね?



わお…今の少年じゃ絶対歯が立たないと思うけど…



………まあなんとかなるさ。















ーーー魔獣を撃退しつつ隣の地方に移動中ーーー






ーーーー関所で手続きしてカランド地方へーーーー













































特に代わり映えしないつまらない道中なので飛ばしたが…



ここにきてようやくイベント発生。



ここにきて、ってのはギルドのある街まで結構距離があるから途中の村に立ち寄ってそこで一泊しよう…って状況ね。



詳しく説明するのも面倒だしイベントが起こった状況を簡単に纏めるからそれで察してくれると助かる。



村に向かっている途中、危険度B指定の近くを歩いてると、急に虎のようなモノと戦ってる人間が目の前に現れた。



ドゥーユーアンダースタン?



「な、なんだ!?」


「…急に、人が降ってきた…」



そう、女の子が呟いてるように急にどこからともなく人が上から降って来たんだよ。



ソイツを追いかけるように虎のようなモノをやって来たが。



驚く少年をよそに降って来た人間…見た目青少年だか青年だか判断に困るお兄さんはチラッとこっちを見て、直ぐに虎のようなモノに視線を移す。



…ん?あの虎的な魔物?みたいなヤツどっかで…



……うーん………



見ため一発で分かるほどの上等な剣を片手に虎のようなモノと戦ってるお兄さんを見ながら顎に手を当てて思い出そうと記憶をたぐる。



「っ…!?」



…思い出した!やべぇ、なんで見て直ぐ思い出さなかったんたろう!



思い出した瞬間に驚きのあまり叫びそうになったがなんとか堪える事に成功した。



ありゃあディアボロティスじゃねぇか…種のトップは独狼の次の次に強いとされる魔界の魔物が何故この世界に!?



…ってか大きさ的にアレはまだ子供だと思うけど、それでもこの世界では危険度S級を超すぞ…!



そんなのと互角に戦えてるあたり、あのお兄さんは絶対ただ者じゃねぇな…



「ウオーゥ………!」



予想外の魔物の登場にどうしたものか…と考えてるとお兄さんから距離をとったディアボロティスが遠吠えをする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る