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「あっと…説明する前にあっち、あの建物を覚えておいてね」
少し歩いた所で、忘れてた…とすでに通り過ぎた場所を指差す。
青年が指差した先には二階建ての建物があり青い看板に白い文字で『ブルーギルド』と書いてある。
「…ブルー…ギルド…?」
「うん、君達もこの街に居る間は何かと厄介になる場所」
…コイツが所属してるのは『レッド』ギルド、んであっちは『ブルー』ギルド…
もしかして役割毎に色分けされてんのか?
魔物退治はレッド、街の困り事はブルー、その他はイエロー…みたいに。
「他にもあと一つイエローギルドがあるから後で案内するね」
「へぇー、ギルドがいっぱいあるんだ…」
「うん、役割毎に分かれてて…レッドが魔獣専門、ブルーが街の雑務専門、イエローがそれ以外を専門としてるんだ」
ビンゴ!…って一瞬喜んじまったが、普通に考えたら誰でも分かりそうな事だよな。
「…珍しいな…」
「?何が?」
青年の説明を聞いて呟くとソレを聞き取れたらしい少年が振り返った。
「通常、ギルドというのは複数あれば競い合っているものなんだが…」
「??そうなの?」
「ああ…競い合う事で切磋琢磨しギルドの質を上げていくという目的でな…まあ裏の汚い事情も多少なりとも含まれてるかもしれん」
裏の汚い事情ってのは金や地位、名誉が絡むアレコレだけど。
「汚い事情…?ギルドって目的はみんな一緒なんじゃないの?」
「さあ?…人助けする、というのがおそらく唯一の共通点だと思う…」
ギルドのメンバーになる奴の目的なんて様々だからなぁ。
地位を得るため、名誉を得るため、金持ちになるため、人を助けるため、力を磨くため、誰かを守るため、生きるため…
そして復讐するため。
色んな目的を持ってギルドを立ち上げたり所属したりするんだから、一概にみんな一緒!とは言えないんだよ。
「みんな目的が違うなんて…じゃあ他のギルドとの関係って殺伐としてるの?」
「緊急時以外は」
「へ…?緊急時?」
俺の返答が予想外だったのか少年は間抜けな声を出す。
「おそらく今この街も同じだろう…一つのギルドで手に負えない事態が発生した場合は他のギルドへ協力要請が出され、一時的に協力体制になるらしい」
最近ギルドについて勉強したのにもううろ覚えになってやがるぜ…
相変わらず俺の記憶力は心許ないな…
「へぇー!やっぱり協力するんだ!」
「そう、困った時はお互い様…という事で普段は仲悪くても協力体制が布かれてる時は一時的にギルメンレベルで仲良くなるんだ」
少年が嬉しそうに声を上げると急に話に入ってきた青年が俺の代わりに説明を続ける。
…この街の現状を少年に手っ取り早く理解させるため、だろうねぇ。
「仲悪いが一転してギルメンレベル…」
凄い手のひらの返しよう…と少年は顔をヒクつかせた。
「結局の所、活動内容はどこのギルドも変わらないから…まあやり方でぶつかる事も少なからずあるけどね」
「やり方…かぁ」
「ギルドによって寛容さが違うから…ソコはまだまだ難しい問題かな」
青年は笑いながらギルドについてのアレコレを少年に教えてくれた。
「その点、この街はまだやり易いと思うよ…依頼内容によってギルドが分かれてるし」
「?どういう事?」
「…内容が被ってないから、やり方で衝突する事がないんだろう…」
「あっ、なるほど!」
俺の補足で納得したのか少年は手を叩く。
魔獣や魔物退治専門のギルド同士が協力したらやり方云々がメンドそう。
ソロで好き放題やって良いのか、パーティで効率的にやらないとダメなのか…とか。
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