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そんなこんなで魔術の練習をする事約三時間。



「よし、これもう魔術での戦い方マスターしたんじゃね?」



鉱山の奥まで到達してそう呟く。



俺が通って来た後には道標のように大量の魔物が倒れている。



「さーて、帰るか…って…ん?」



伸びをしてあくびと一緒に呟くと…どこからか戦闘音が。



…俺の後からこの鉱山に入って来た奴がいるのか?



暇潰しがてらに音のする方に行くと…なんと!



おそらく鉱山の最奥地であろう広い空間の発掘場所で誰かがデカいワームと戦っていた。



なんだありゃ…あの大きさからしてクラックワームっぽいが、なんか違う…?



「くっ…!なぜこんな所にこんな強い魔物が…!」



薄い紫色という珍しい髪の色をした青年がそう言いながらデカいミミズに立ち向かう。



「ミルディ!深追いはするな!」



青年が叫ぶと少年がデカいミミズの攻撃を食らって吹っ飛ぶ。



…なんであの少年がこんな所に?



軽く呆気に取られながらも無詠唱で風魔術を発動させて、凄い勢いで壁にぶつかりそうだった少年を助ける。



「…少年、無事か?」



突風で俺の方に方向転換させた少年を受け止めて地面に下ろした。



「あ…あなたは…!」


「村では世話になったな、その礼にアレを倒すのを手伝おう」



一応キャラに合った話し方をしてデカいミミズに手を向ける。



…えーと…サイクロンの詠唱は……思い出した!



「偉大なる盟約の下我に力を貸し与えその荒れ狂う風の刃で目の前の敵を滅せよ…サイクロン」


「うおっ!」



青年が急いでデカいミミズから離れるとソレを中心に小さな竜巻が巻き起こる。



いやー…詠唱って恥ずかしいな。



みんなが聞こえないぐらいの小声でブツブツ呟いてる理由が分かったぜ。



「…まだ倒れないか…」



小さい竜巻にモロに巻き込まれ一旦は倒れたものの…デカいミミズはまた起き上がった。



うーむ…もしかしてさっきと同じ感じで殺さない程度の威力で発動しちまったかな?



「なんて強さだ…!」


「だが今の一撃で確実に弱っている…ミルディ!畳み掛けるぞ!」



少年は見るからに弱ってるデカいだけのミミズに恐れをなすも青年の呼びかけで動く。



…とりあえずもう一回殺さない程度の威力で魔術を発動するか。



そうすりゃあの二人が倒してくれるだろ。



デカいミミズに斬りかかって行く二人をやる気なく見物して無詠唱で雷魔術を発動させる。



「っ…!?今だ!全力で叩き込め!」


「うおおお!!」



俺の攻撃で一瞬硬直したデカいミミズにチャンスだと思ったのか青年が少年をぶん投げた。



少年の全力?の一撃を食らったデカいミミズは地面に倒れ、今度は起き上がらない。



「はぁ…はぁ…終わった…?」


「…ああ、コレで魔物退治は終わりだ」



息を切らしながら地面にへたり込む少年とは違い、青年は少し息を吸って歩き出す。



…んな雑魚相手にここまで苦戦するなよ。



そう思った瞬間、ただ者じゃない人の気配を感じて俺は素早く気配を消して隠れる。



「はっ…まあこんなモンか」



倒れたデカいミミズの後ろから短い髪を逆立てた男が現れた。



「っ…!?誰だ!」


「ああ?こんな雑魚に苦戦してる弱者に名乗る名前は無ぇ」



男がデカいミミズを蹴ると凄い勢いで飛んで行き、大きな音を立てて壁にぶつかる。



「さっきまでソコに居た奴は少しは楽しめそうだったが…俺の存在を察知して逃げやがったか…チッ」



おそらく俺の事を言ってるのであろう男は舌打ちすると姿を消す。



なるほど…アレが組織の活動メンバーか。



…いきなり現れ、いきなり消えたのは多分旧時代の遺物の効果だろうよ。



流石は秘密結社?とでも言うべきかね。



中々レア度の高い物を所有してやがらぁ。



とりあえず今はアイツを追い掛けるよりも主人公のパーティメンバーになるのが先かな?



「…今の奴は?」


「アレ!?いつの間にそこに!?」


「…俺達にも分からない…とりあえず、協力感謝する」



スタスタ足音を立てて近づくと少年は驚き、青年は普通に対応した。



「ふむ、なにやら面白い出来事の予感がするな…」



俺はニヤリと笑って少年と青年に付いて行くようにして一緒にギルドに戻る。





「…以上が鉱山での出来事だ」



青年が受付嬢に報告してるのを俺も近くの椅子に座って一緒に聞く。



なんて事はない、普通のギルドの依頼と何も変わらなかった。

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