22

神の襲来という壮大な事態が収まり…



後始末である大陸の修復作業して、終わったのがソレから二週間後。



しかも異例のこの世界は元より天界や魔界、冥界の調停の使者が総出っていう。



式部も来てたし、手が回らないから神々にも色々と手伝って貰ったんだよね。



この世界と天界、魔界の調停者の指揮の下でしてたんだけど、すっげー忙しくてヤバかった。



みんなてんやわんやでさぁ…寝る時間もあんまり無かったぐらい。



冥界の調停者は不満が募ってる悪魔や魔獣が行動に移さないよう七大魔王と一緒に抑えてたんだと。



まあ何はともあれコレでバランスを元に近いぐらいには戻せたワケだ。



あ、一応…ありとあらゆる手段で被害のあった大陸の半分を隔離してからの作業だったってば。



だから修復作業を知ってるのは調停の使者だけ。



おそらくコレから知るであろうリザリー達や式使のお姉さん以外は何が合ったのか分からないと思う。



あの大陸での出来事を知ってた人に取っては狐につままれた感じになるだろうね。



大陸が壊滅してたハズなのにいつの間にか元に戻ってる!?的な。



いやー、しかも俺達がこの前大量に殺してなければもっと楽だっただろうに…



ホント調停の使者達には申し訳ない事をしたよ。



…だってこんな事態になるなんて思わないじゃん?



こうなるって分かってたらあの時数人しか殺さなかったって。



国境を越える前に将軍を脅して撤退させてたし。



…まあそんな事を知ってるのは調停者とか調停の使者数名ぐらいだけど。



これ以上はちょっと被害妄想になりかけるので…



回想的な過去を振り返るのはここらで終わろうか。



そんなこんなあって、俺は今別荘に来ている。



「よう、調子はどうだ?」


「あ、父さん」


「「「お帰りなさいませ」」」



別荘の中に入るとライナが靴を履いていてメイドが出迎えてくれた。



「義手と義足にはもう慣れたか?」


「うん、前のようには動けないけど…多少は動けるようにはなったよ」



ライナは義手と義足を見て寂しそうに笑う。



「前までは全然意識しなかったけど…生身の手足ってあんなにありがたかったんだな、って」



今となっては後の祭りで後悔してもどうしようも無い事なんだけどね、と顔を上げると吹っ切れたような顔を見せる。



「大事な物は無くしてから気づくもんだ…まあ、そんなお前に良い話を持ってきてやったぞ」


「え?」


「お前が本当に後悔してるんなら、もう二度と同じ過ちを繰り返さないってんなら…その手足を治せるよう取り計らってやる」



本当は俺が治すつもりなんだが…ソレを知ったら、何時でも治してもらえる!と危機感が無くなってしまう。



だから、一応治せる奴を紹介しようか?的な感じにしねぇとな。



「取り計らうって…?」


「再生魔術を使える奴に頑張って交渉したんだよ」


「…えっ!?って事は俺の手足が元に戻るの!?」


「可能性はある」



驚くライナに明言はせずボカした感じで答えた。



…厳しいかもしれんがコレも俺達の優しさだよ。



手足を失った時の喪失感や不便さを知ったんだから次からは気をつけるだろう。



そのためにメイド達も心を鬼にして治せるのに治さなかったんだから。



…全てはライナの将来を思っての行動だ。



「マジで!やったー!手足が元に戻るんだ!」


「戻るかどうかは運次第だけどな」


「えっ…運?」


「そ、運」



かなり難しいらしい、今日の夜に来るよう取り計らってくるから成功するよう祈ってろ…と言い残して俺は別荘を出る。



「…運…運かぁ…そうだよな、そう都合良くいくワケないか…はぁ…上手くいけばいいなぁ…」



別荘の陰に隠れてると、ライナが出てきて落ち込んだようにブツブツ呟きながら歩いて行く。



「「「「お帰りなさいませ」」」」



見えなくなってからまた別荘に入ると残りの4人が居て、今度はメイド総出で出迎えてくれた。



「いつものアレやるから、あの部屋で…今回は凄ぇぞ」


「「「「かしこまりました」」」」



7人全員が揃って頭を下げ、その内の一人が鍵を取りにタッタッタッ…と小走りで去って行く。



「あのアフリカ大陸でのアレよ、神の仕業だぜ」


「まあ、そうなのですか?」


「修復に二週間だぜ?超疲れたし、これからマキナ達の所に行かないといけんし…」



修復作業がくっそ忙しくて電話してるヒマ無かったから着信をシカトしてたとはいえ…



この二週間でマキナ、ショコラ、リザリー、エルーにハルト、エリアからの着信が四桁超えだぜ?

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