12
「俺は式部家当主の式部 赤だ、なるべく普通に接するつもりなので以後よろしく」
「ド変態だけど君には手を出さないし…君の前では下世話なトークは気をつけると思うから安心して」
笑顔で手を差し出して来た式部の悪印象をなんとかしようと横からまたフォローした。
「…よろ、しく…お願い、します…」
女の子は右手で式使のお姉さんと、左手で式部と握手する。
「他にも式卜のお嬢さんと式津の野郎が居るんだけど…そいつらは別にいいか」
俺と面識があるのは式卜のお嬢さんだけだし。
「そう言えば…程君には妹がいたよな?高校生だったか?」
「あ?ああ、今は高二だったかな?」
女の子に言った言葉を聞いて式部がそう質問してきた。
「もしかして…紫の言ってた友達って…」
「程君の妹の名前は愛梨か?」
「そうだが…なにか?」
式部と式使のお姉さんがひそひそ話ながら何かを確かめるように聞く。
「…世間は狭いな…式卜家当主の紫を知ってるであろう?その紫が最近ちょっとしたアレで学校を転校したらしい」
「…は?…もしかしてソイツが俺の妹と同じ学校で、友達になっちゃった…とか言うなよ?」
「ビンゴだ、珍しく直ぐに友達が出来たと嬉しそうにはしゃいでてな…あっちから積極的に話しかけてくれた、と」
おう…愛梨や、君は優しい女の子だけども…
俺の自慢の妹でソレは良いことだけども…なぜこうも変な繋がりを持つんだい?
しかも…友達が出来にくいと、ある意味有名な式卜のお嬢さんとかよ。
「マジか~…まあでも俺にはほんのちょっとしか関係無い事だけどな」
妹の交友関係に口出し出来る立場じゃないし。
「もしかしたら、その女の子…案外紫と仲良くなれるかもしれんぞ」
「てめぇが言うんならそうかも知れんが、ソレを俺に言ってどうすんだよ」
式卜のお嬢さんとは一回しか会った事ないし、しかもその時はお互いに猫被ってる?的な状態だぞ。
だからぶっちゃけ式卜のお嬢さんの事なんて家柄と顔しか知らんわ。
「早速今日の夜にでも紫と黄ぃを呼んで歓迎会でも開きますぅ?」
「妖怪退治はどうすんだよ」
「なに、後半部隊に回してもらえばいい」
「…妖怪…退治…?」
ずっと黙って話を聞いていたお利口さんの女の子がココで初めて会話に入ってくる。
「ああ、この国では日の入りから日の出までの夜の間は深夜の短い時間を除いてずっと出続けるんだ」
そう説明するとビックリしたように目をパチパチさせた。
「…ずっと…?」
「ずっと」
「そう言えばその女の子、何なんですのぉ?」
電話で詳しく説明するって言ってはりましたよねぇ?と式使のお姉さんが質問する。
「信じるか信じないかは任せるが…異次元、異世界とかそういった別世界から来た女の子だ」
「「は…?」」
俺の説明に二人同時にマヌケな声を出す。
「つまり、この世界の人間じゃないんだよ」
「は?いやいや、ちょっと待て…ソレはいくらなんでも…」
「だから…信じるも信じないもお前らの勝手だ、だがソレが紛れも無い真実で事実だ」
不安そうに俺を見上げる女の子の頭を撫でながらそう説明した。
「そうか…まあ程君が言うならそうなんだろうな…暫くと言うのはこの子が元の世界に戻るまでか?」
「そうだ、この女の子が居た世界もこの国と同じく妖怪と戦ってたらしいから…もしかしたら良い戦力になるかもよ?」
この竹刀袋に入ってる刀は妖刀『村正』とか言う上等な刀だし、と言い女の子の頭を撫でながら笑う。
てか…妖怪も存在する、忍術と言う名の科学でギリギリ証明出来る技術がある、死体が生き返る。
こんな世の中なんだから別世界から人が来てもおかしくないだろうに。
まあこいつらは知らんと思うけど、この世界以外にも天界に冥界…魔界が存在するんだし。
神に悪魔に魔王が存在するんだから逆に異世界から何も来ない方がおかしくね?
「式部、ちょっと来い」
「なんだ?」
「…後から調停の使者から連絡があるかもしれんけど、俺は調停者んとこ言って対処法を練ってくる…だから女の子は任せたぞ」
式部を手招きして呼び、肩を組むような感じでヒソヒソ話す。
「…そういう事か、やっぱり程君も調停の使者だったんだな」
「気付いてたのか?…まあいい、それじゃ頼んだ」
トンッと式部の背中を押して後半部分を式使のお姉さんにも聞こえるよう言う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます