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「…?…だ、れ…?」
ワンテンポ遅れて女の子は掠れた声で質問した。
この声を聞く限り男の娘である可能性はほぼゼロだろ。
「さあ?誰だろう……わお…」
おちゃらけた感じで目隠しを外すと中々の美少女。
東洋に居そうな顔立ちで可愛い顔をしている。
一瞬だけ目が合ったがその瞳には強い意思のようなものが感じられた。
…一瞬だけってのは俺が速攻で目を逸らしたから。
イイね…漫画とかアニメに出てくる無口だけど強い精神力と実力を兼ね揃えたような顔だ。
見た目的には未成年っぽいが実年齢はどうなんだろうな?
「あっは、君可愛いね?人は見た目によらないと言うが…その可愛い顔で何をやらかしたんだい?」
「…あ、なた…は…?」
上手く声が出ないのか女の子はなおも掠れた声で首を傾げる。
「さあ?ココでクイズ、俺は誰でしょう?」
当てたらこの半分しか残ってないスポーツドリンクを飲ませるよん、と言ってペットボトルを見せた。
「…わ、から…ない…」
頑張って絞り出したみたいな掠れ掠れの声で首を緩く振る。
「せ~かい、俺も今の俺が何キャラか分かんないんだよね」
「え…?」
変装はしてるものの…ココでは一体どんなキャラを演じればいいのか全く分からない。
女の子は俺の思わぬ回答に目を丸くした。
「ほーらご褒美だよー…間接キスは気にしないで」
「んっ…んく…んくっ…」
キャップを外して女の子の口に当てて徐々に傾けてスポーツドリンクを少量ずつ流し込む。
「っはぁ……いいの…?」
「ココに入る前にカメラは切ったから大丈夫」
パソコンはあんまり得意じゃないが…それでも少し弄って監視カメラの映像をオフにする事は出来んだよね。
「…あり、がとう…?」
「当たり前の事をしたんだからお礼は要らない」
そう言って空になったペットボトルのキャップを閉める。
よし、これで女の子の好感度は上がったハズ!
危うく俺のカルピス的なのでも飲ましてやろうか…とオヤジ的なアレを考えついて実行するところだったが、なんとか踏み止まれたな。
だってこの女の子見てたら…ねぇ?
東洋…異国の日本人的な顔立ちの可愛い女の子が椅子に拘束されてんだぜ?
このシーンにこのシチュエーションで俺のS心に火が点きそうだったわ。
合意なしの無理やりで本番ってのは絶対に出来ないが、それ以外ならOKよ?
「んで?君はどこの出身かな?」
「…日本…」
………?日本?日本ってあの?
「日本ってあの東京とか北海道とか京都とか沖縄とかの都道府県がある国?」
「…!?あなた…日本を、知ってるの…!?」
何故か女の子は驚いたように目を見開く。
「あー、まあ…今は変装してるけど俺も日本人だしね」
「うそ…!日本って…国は、存在しない、って…」
……え?なに、この女の子ってもしかしてこの世界の人間じゃない系?
…いやいや…いや、まあ言葉は通じて…え?
そういやなんで日本人なのに世界共通語に訛りがないんだ…?
……あ、あー…まさかしてのそういう事?
あの異世界から来た少年と同じ系?
で、アレと違い召喚魔術の失敗とか旧時代の遺物とかで来ちゃったやーつ?
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