29

「コイツが目を覚ましたらそう言っとけ」



恐らく気絶してるんであろうハルトを指差して俺はあの研究室に向かった。



「少しでも休まないの?」


「アレを作り終わったら」



何故か当たり前のようにショコラが後ろからついてくるっていう。



「ってかお前の研究は?」


「ん~…強化外骨格を作り終わったから今は数少ない休暇かな?」



数少ないって…コイツら一体どんだけ忙しいんだろうか。



まあ研究者としては研究があるし軍人としても色々仕事がありそうだ。



更には3人居るとは言え、研究所の責任者だから…研究員を纏めたり研究の指示したり大変だろうなぁ。



「お前らの年商ってどれぐらい?」


「年商…とはちょっと違うけど、この研究所だけで去年は全部で1979億ぐらいのお金が入って来たよ」


「約2000億…桁が違い過ぎて何の感情も起きん」



それもこの研究所だけでって事は全部の研究所合わせたら兆超えるんじゃね?



「でも結局…研究所の維持費やら研究員の給料やら研究費とかで殆ど手元には残らないよ?」


「ほぉ~…研究員の給料ってどれくらい?」


「ん~、コッチは一律で…月給250万ぐらい?もちろん成果を上げれば臨時ボーナスもあるけど」



月給250万か…って事は×12で……年収3000万!?



「あ、言い忘れたけど年に二回ボーナスがあって…コッチは給料の倍だね」



倍って事は…500万?んで年二回で1000万………年収4000万!!?



…流石はショコラ、エリア、ハルト達の目にかなったエリート共だ。



たった5年で異国の生涯所得額を超えるぜ…



「ってアレ?コッチは?他の研究所は違うのか?」


「うん、リザリー達の所は歩合制って言うの?成果を上げれば上げるほど給料も上がるらしい」


「はぁ…まあアイツらしいっちゃあらしいが」


「それでも最低月150万はあるんだってさ」



……この研究所で働いてる奴らは完全に勝ち組だ…



「さぞかし学歴も凄いんだろうな」



ハーバ○ドとかオク○フォードとかなんとか工科とか頭良い学校に通ってたんだろうよ。



「なんとか工科大学とかトップクラスの大学出てる人もいれば中学卒業で直ぐの子もいるし…成果さえ上げれれば学歴なんて関係ないんじゃない?」



皮肉気に聞いたら正論で返された。



…そんなん言われたらぐぅの音も出ねぇ。



「まあ実際問題、養成学校卒のお前らがトップだしな…学歴気にしちゃやってられんか」



頭の良し悪しは学問の成績で決まるワケでは無い。



が、やっぱり頭の良し悪しを手っ取り早く判断するには学問の成績を見るしか無い…という軽い矛盾。



…はぁ、きっと平和な世の中だったら俺とコイツらは一生会う事も無かったんだろうなぁ。



だって俺は底辺校コイツらは絶対トップクラスの学校行くだろ?



今の世の中に感謝…感謝…感謝……感謝なんてしたくないんだが!



にしても人間社会は昔から貧富の差が激しいとは聞いたがここまでとは。



つーても世界に貢献してる研究と、会社に貢献してるだけの仕事とかじゃ差が出るのも当たり前か。



重労働しても軽労働してる人と給料が一緒だったら誰も重労働なんてしねーわ。



…そう考えると貧富の差も仕方ないかもしれないと思えてくる不思議。



「そんなに金貰って使うヒマあんのか?」



俺が見た限りでは研究員はみんな、金のためじゃなくて研究したいから働いてます!的な感じに見えるぞ。



「さあ?でもほとんどの研究員は年収の半分ぐらい貧しい子供達のために寄付してるんだって」


「…マジで?」


「うん、昔ていとが良く言ってた『お金は使わないと回らない』ってのを研究員に言ったらみんな寄付しだした」



…やっぱり金に余裕がある奴らは心にも余裕が出来るのか?



寄付まで出来るなんてマジな勝ち組じゃん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る