10
女の子の両膝が治り、別荘に帰還した翌日。
「おとーさん遊んでー!」
「ぐっ…!」
朝早くから下の子にボディプレスで起こされるっていう。
時計を見ると時刻は8時、おそらくライナと下の子達以外は学校に行った後だろう。
「ほら早く起きてー!」
「も、もう少し寝かせて…」
「ダメー」
下の子に背を向けるように寝っ転がると毛布を剥ぎ取られる。
「…う……ふあ…起きるよ、起きればいいんだろ」
俺はあくびしながら目を擦り上半身を起こす。
「先に外で待ってるよー!」
元気良く部屋を出て行った下の子にため息を吐きながら食堂に向かった。
「あ、おとーさん起きてた…とうっ!」
「おう…っと」
「…先、行ってる」
途中で他の下の子達のタックルを受け止めると手を振り走り去って行く姿を見てまたため息が出る。
「「「「おはようございます」」」」
「おう、おはよ…」
「コーヒー淹れますか?」
「いや、今日は渋いお茶をくれ」
「かしこまりました」
頭を下げて歩き出したメイドと一緒に厨房に入りシンクの所で顔を洗った。
「眠ぃ…」
「ふふっ、ナノちゃんに起こされたのですか?」
「多分な…寝てる最中にボディプレスだよ、体重が軽いとは言え無防備な身体には結構な衝撃だ」
「いつも居ないから余計に構って欲しいのかもしれませんね」
まあ小学生に上がる歳までは大目に見とかないといけんか。
俺でも親と離れたのは7歳の頃だったし。
…そのおかげで母さんを親と言うより女としてしか見れなくて自己嫌悪しまくったっつーのも今は懐かしき思い出よ。
「お茶が入りました」
「おう、ありがとう」
別のメイドが持って来た湯呑み茶碗を受け取り一気に飲み干す。
氷が入ってたからか温度は丁度良かった。
「~~っ!くあー!」
苦い!!コレは速攻で目が覚める苦さだ!
あ、違った…お茶の場合は渋いだっけ。
っあー!あー!きくー!っあー!
俺は軽く悶えながら湯呑み茶碗に水道水を入れて飲み干し玄関に向かって走る。
だって口の中が大変な事になってるんだもの。
「おとーさん遅いよー!」
「…待ちくたびれた…」
「やっと行けるね!」
「おいおい…」
外に出ると下の子達に手首を掴まれてそのまま引っ張られた。
「すーはー…すーはー…」
「?どうしたの?」
いつもの危険区域の森に向かってる最中に深呼吸しながら歩いてると下の子の一人が不思議そうに聞いてくる。
「いや、さっきお茶を飲んで…予想以上の味で口の中がまだ苦いんだ」
「…予想以上の味…?」
「とびきり渋い味、青汁やゴーヤーよりも苦い」
乾燥させたゴーヤーの粉末+宇治の抹茶+乾燥青汁みたいな?
後味とかスッキリしてるからまあ味は美味かったんだろうけど、いかんせん渋さがぱねぇ。
俺が注文したモノとは言えいったいどんな茶葉を使ったのやら。
「なんでそんなのを飲んだの?」
「眠気を取るために、効果覿面過ぎた」
適当に雑談しつつ崖を飛び降り、川を飛び超え目的地に到着。
下の子達の遊びに付き合いつつ、薬を作るのに必要な材料を収集した。
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