35
「てめぇこそ何様の態度なんだよ、俺様か?」
「女に俺様は無いんじゃない?」
「はっ、じゃあ私様か?」
「…あんた私に喧嘩売ってるの?」
リザリーの言葉に鼻で笑って返すとソファから立ち上がり俺の所に歩いてきた。
「売ってるって言ったら買うのか?」
「上等じゃない…!今一度立場の差を思い知らせてあげるわ」
「ち、ちょっと!喧嘩は止めようよ!」
「そうだ、お前らが暴れたらこの研究所なんて直ぐに崩壊するぞ」
俺達の一触即発の雰囲気にマキナとエルーが間に入って止めようとする。
「止めんな、つーか巻き添えくらうぞ?」
エルーを左手で退かしつつポーチから星砂が入ってるビンよりもふた回りほど小さいビンを取り出す。
この媚薬はあのお姉さんで効果のほどを試そうと思ってたんだがな…
まあ実験のためにガラにもなく挑発したんだ、今更止められても困るぜ。
「り、リザリー落ち着いて、ね?」
「悪いけど離れてて、巻き添え食らっても知らないわよ」
「そうだぞマキナ、流れ弾に当たりたくなければ今すぐに部屋から出た方がいい」
「…随分強気ね、まあ今更謝っても許さないけど」
リザリーがマキナを退けた瞬間に俺はビンの蓋を開けた。
「ふっふっふ…先手必勝」
マキナとエルーを巻き込んだのは悪いと思うが…
人の忠告を聞かなかったんだからしゃーない。
「ふん…そんなモノ息を止めれば…!」
「うおっと…っと」
リザリーが俺の顔面目掛けて超高速の左膝蹴りをしたがソレをなんとか右手で掴んで受け止める。
だが予想以上に威力が高く後ろに少しよろめいた。
「甘い…っ!?」
よろめいた拍子に空いた俺の胴に蹴りを入れようとした所でリザリーの顔色が変わる。
「一発目から魔術を使って速攻で決めれば良かったものを…ばーか」
俺がリザリーの膝を離すとそのまま地面に倒れ込む。
ふとマキナとエルーを見ると呼吸を荒くして床に膝を着いていた。
ふむ…効果覿面だな。
超即効性とは言え効くまでだいたい10秒ぐらいはかかるか…
「あ、んた…!いった…ナニ、を…!」
「ん?人体実験ってやつ?本当は女将軍に使うつもりだったんだけど…この際強い女なら誰でもいいかな、と」
リザリーならドSだし精神的にも強いし実力の面でも全くの文句無しだし。
あの女将軍の代わりとしては十分すぎる。
「な…んで…わた…し…た…」
流石のマキナにも効果覿面らしく息が荒いからか言葉も切れ切れになっていた。
「だから巻き添えくらう前に逃げろって言ったのに…」
俺はポーチから錠剤の入った袋を取り出してさっきリザリーが飲んでた紅茶を持ってマキナに近づく。
「ほら、コレ飲め元に戻るから」
「んっ…ぷはぁ」
「お前はコレだ」
「んぐっ…」
マキナには錠剤、エルーにはカプセル剤を飲ませてリザリーの所に戻る。
「っ…!はぁ…!…んっ…!」
「どうした?下半身がモゾモゾしてるぞ?俺に立場の差を教えるんじゃなかったのか?」
「く…!あん、た…ねぇ…!」
「そら」
「ひぁん!?」
人差し指でほっぺを軽く突いただけなのにリザリーは喘ぎ声を上げた。
あのプライドが高くドSなリザリーが俺にいつもしてる事を逆にされたら、動けるようになるのか?と思ったが…
変な性癖に目覚めさせるだけだな。
やっぱり精神力云々でどうにかなるワケないか。
「うわ~…凄い効果だね」
「お、元に戻った?」
「そらそら」
「ひぁっ!ちょっ…!あんっ!?///」
どうやら二人とも薬の効果が中和されて動けるようになったらしい。
エルーはリザリーの背中やら脚やらを突いて遊んでいる。
こいつバカだ…後でどうなっても俺はしーらね。
「ほーらほら」
「ひゃぅ!あゃ…!?あ…あ…っ…!?」
「「あ」」
ビクビクと跳ねるのが面白いのかエルーがリザリーの身体の色んな所を触ったり揉んだりして遊んでると……何処からか水の音が。
「いやっ…!うそっ…!?とまら…ひぁっ!!///」
あのリザリーがまさかのお漏らし。
しかも漏らしてる最中でも達してるっていう。
…お漏らし自体は恥ずかしくないけど漏らしながらイくってのは恥ずかしいのか。
予想外の光景ではあるが…コレはコレで面白いからアリだな。
因みに俺達は鎮静作用が効いてるので目の前のかなりやっべーぐらい興奮する光景でもピクリともこない。
男として完全に終わってると思うが薬のおかげ、という事にしておこう。
「エルーお前やっちまったな」
「反省はしている、ちょっと待っててくれ」
俺がポンと肩に手を置くとダッシュで部屋から出て行く。
「どうする?」
「どうするって言われてもな…今の状態で戻したら俺が殺される」
「エルー居ないもんね」
媚薬を使ってリザリーを極限まで発情させたのは俺だが、遊んでこの状況にしたのはエルーだ。
つまり…悪いのはエルーで俺は悪くない。
あいつらだって俺に致死量レベルの薬を盛るんだから俺が多少使った所で怒れないだろうし。
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