32

翌朝。



目覚ましの音で起きるとなぜかリザリーとマキナがベッドの上に。



……あれ?昨日って確か夜にマキナをマッサージして、眠くなって……あれ?



なんで俺こいつらに挟まれるようにして寝てんの?



夢か?夢なのか?…いや、良くある事だから夢じゃないよな。



「くあ~…」



二人を起こさないようにベッドから下りて時計を見ると午前5時55分53…54…55秒。



ぴったしゾロ目での起床。



俺は軽くストレッチをしてあいつらが目を覚ます前に魔王城に影移動した。



「…おはよう」


「おはよう…というかなんでいつもベッドの下から這い出てくるの?」



自室のベッドの下に影移動したら…まさかのアルバトロスが椅子に座ってラノベを読んでるっていう。



毎度毎度ベッドの下から這い出てくる俺にずっと疑問を抱いてたのか、不思議そうに聞いてくる。



「ベッドの下には手品的な秘密の入り口があってな…」


「ふーん、それより新刊は?」


「今の所はその本棚にあるのが全部だよ」



前からあった本棚がラノベで埋まってしまい、今は二つに増えている。



「そっか…」



落胆したように呟いたアルバトロスを無視して俺は着替える事に。



靴下以外は全部魔界の植物製品。



ゆし、後は仮面だな。



般若にしようか鬼神の能面にしようか…待てよ、ヒョットコとかオカメも面白いかもしれん。



ん~………………決めた!



このいかにも能面!みたいなのにしよう。



因みにこのクローゼットに入ってるお面とかは最近異国で買った物で10種類ぐらいしかない。



数が少ないんだから本当はあまり悩む必要もないんだけど。



「じゃ、ちょっくら出かけて来るよ」


「ん、次は新刊買って来てよ?」


「善処しとく」



頭に能面を斜めに乗せて魔王城の地下に向かって歩き、周りに気配がしなくなった所で研究所のトイレに影移動した。



その後まだ寝てたリザリー達を起こし一緒に軽い運動をしてから朝食を作る。



流石に4人がかりでの料理は早くて中々豪華な物が作れたよ。



エルーは料理っていうか…皿を用意したり洗い物とかしてたけど。



「さーて、そろそろだなー」


「そうね…というかなんであんただけ知らぬ間に準備を完了させてるのよ」


「ただ着替えただけだろ…あ、このお面は顔を見られないためね」



さっきからみんなチラチラとお面に視線がいってたため、ココで説明した。



誰かツッコむだろうと思ってたのに誰もツッコまないっていう。



「変わった仮面だね…どこで買ったの?」


「異国で」


「へー…異国ってていとの故郷だったけ?」


「ん、よし終わりっと」



雑談しながらも洗い物や片付けを終える。



「じゃ、応接室で待ってるから準備が終わったら来てな~」



俺は手をヒラヒラ振って先に応接室に向かった。



応接室のソファに寝っ転がり仮眠を取ること30分。



準備が完了したらしい4人が部屋の中に入ってきた。



リザリーとマキナ、ショコラは伊達眼鏡とマスクで軽く変装していてエルーはサングラスをつけている。



「んじゃ、行くか…」



ポーチからナイフとスタンを取り出し…(以下略)。



「おー…すっげえ数」



国境近くの平原の高台に影移動した俺らは真っ先に兵士達が進軍してる場所を見た。



「まるで蟻のようね」



国境付近には何も無く誰でも素通り出来るようになっている。



俺らはおそらく国境と思われる場所から2kmほど離れていて、敵?兵達も国境付近まで5kmぐらいは離れてるが…



いかんせんこの付近は山や森が少ない平原地帯のため遠くが良く見えるんだ、コレが。



「900万の軍勢対5人ってワクワクするね!」



マキナはコッチに向かって行進してる軍勢を見てとても嬉しそうに笑っていた。

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