08

そろそろ料理を作る場面は省略といこう。



説明がだんだん面倒になってきた。



20分ちょいで三人分作ってテーブルの上に置く。



「藍架、愛梨にイタズラしてないで起こせよ」



あいつ…俺が料理してる間ずっと寝てる愛梨にナニカしてやがった。



最初は頬をつついてただけなのに、だんだん胸揉んだり尻触ったり太もも撫でたり…



俺だったら変態って言われるような事ばかりだぜ。



姉妹だったらスキンシップで済むんだから羨ましいよなー。



「ん……あ、お姉ちゃん…お帰り~」


「ただいま、って言っても夕方になったらまた出るけどね」


「忙しそうだなー」


「誰かさんのおかげで」



藍架はどかっとイスに座り、いただきますって言うが否や…かきこむように食べ始めた。



「危なくなったりなんかあったら家に電話しろよ?俺は多分ずっと家にいると思うし」


「どの口がほざくの?」


「この口が、一応俺はお前の味方なんだからさ…ソレを忘れるなよ」



たとえ藍架に呼び出された先に罠が仕掛けられてたり、何かしらの策に嵌められようが…



どんなに不利になろうが藍架を敵にする気は無い。



守るべき存在と決めたからにはどんな状況だろうと味方してやるよ。



そうじゃなきゃ今までなんのために頑張って来たのか分からないからな。



「味方…ね」


「そそ、『お前の』な…その周りは知ったこっちゃないけど」



俺にとっちゃ家族や友達以外は赤の他人だ。



極論になるが…どんなに可愛い女の子でも家族や友達に害を為すならば、容赦はしない。



なるべく殺さないようにはしたいが、最悪殺す事になるかも…



ま、優先順位の違いだよネ。



…言わないけどさ。



「なに話してるの~?」


「ん?ああ、藍架を口説いたんだが当然失敗しちまった」


「…弟に口説かれて堕ちるワケないでしょ」


「いいな~…私も男の人に口説かれてみたいなぁ」



愛梨は羨ましそうに言って箸を持ち合掌する。



「愛梨はしょっちゅう告白されてるじゃない、彼氏は今で三人目だっけ?」


「告白されるのと口説かれるのは違うよ~…お姉ちゃんだって最近まで二人彼氏いたじゃん」



……え?三人目ってそういう意味の三人目?



付き合った数じゃなくて付き合ってる数なの?



つーかやっぱりこいつら彼氏とかいたんだ。



そういや昨日、アレを見せられたって言ってたな…そういう意味だったんかい。



いや、別に束縛する気は無いけど。



いくら兄でも彼氏とか許さんぞ!とか言ったらウザいしな。



まあ悪い男に引っかかってるんならバリバリ口でも手でも出すけどさ。



それより一番気になるのが…



「お前ら二股とかしてんの?」


「二股と言うか…あっちから、二番目三番目でもいいんで付き合って下さい!って言ってくるから」


「私もそう、でも私の場合は肉体関係を迫ってくる奴らばっかりだったけど」



藍架はウンザリした様子でごちそうさま、と言って丼椀を片付ける。



「…まあ男なんだからしゃーねーべ?店に行くにも金がかかるし」


「だから愛梨には、肉体関係とかを度外視するならいいよ。って付け加えさせた」


「そう言うとね、告白してきた男子のほとんどが口を噤んで去って行くの」



男って単純!悲しい…哀しき男の性だ…



ほぼ確実に俺も口を噤んで去って行く方だろう。



男と女が同じ部屋にいるのに手を出さないとか…ありえねえ!



俺も抑圧された感情さえ無ければな…リザリーだかマキナだかショコラだか藍架だか愛梨だか母さんだかを絶対、確実に性的に襲ってる。

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