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「く、来るな!」
「俺だって鬼じゃない、雑魚すぎるあんたには辞世の一つぐらい言わせてやろう」
強い奴が相手だとそんな事は出来ないけどな。
「い、命だけは…!」
「最後だっていうのに冴えない言葉を残すんだな」
右手のナイフをハゲの心臓に突き刺して左手のナイフを脳天に突き刺す。
「どうせ市販の安いナイフだ…冥土の土産にくれてやるよ」
ナイフを突き刺したままハゲから離れると服に血を滲ませてイスから倒れる。
「く…そ…こう、か、い…す」
へぇ、刺されても喋れたなんて…一般人よりはまだ精神力があったのかな?
後悔ね…どうせ俺は今も昔もこの先も後悔する事だらけだ。
今更一つ増えた所でどうってことあるまい。
「ふんふーん…」
鼻歌を歌いながらさっきのトイレに向かい、ある場所に影移動して変装を解く。
そして声も元に戻して藍架の所に影移動した。
「待たせたな~」
「遅い!」
既に妖怪が半分ぐらいに減ってる戦場に斧を肩に乗せながらのんびり歩いて戻ると藍架に怒られた。
「遅いって…まだ10分ぐらいしか経ってないだろ」
「いえ、正確には14分23秒です」
俺の発言に近くにいた情報専門?の忍者(女)が細かくツッコんでくる。
「探すのに時間かかったんだよ…コンビニでトイレから全然出てこない人は中で何してんの?」
「さあ…?大を催してるのでは?」
「程人!口よりも手を動かせ!」
近づいて来る妖怪を斧で斬り裂いて迎撃しながら情報専門?の女の子と喋ってるとまたしても怒られた。
「ちゃんと手も動かしてるじゃねえか…つーかお前は俺の上司かよ」
俺はため息を吐きながらその場から離れ妖怪を次々と切り裂いて行く。
さすがに忍者(女)の人数が多いからかそれから10分でこの場所での妖怪退治は終了。
「次だな~…って、おわっ」
斧を持ったまま伸びをすると後ろから急に攻撃された。
剣を突き刺すような動きだったので身体を軽く捻って避ける。
「チッ…」
「危ないな~」
首をポキポキと鳴らして周りを見るとみんなが俺に対して武器を構えていた。
「ははーん…そんなに俺と戦りたいの?」
「妖怪は敵…あんたが、あの人を…!」
「ああ、俺が殺した野郎共の中に恋人でもいたの?そりゃ残念だったね」
「殺す!忍法、雷蜘蛛!」
さっき攻撃して来た女の子が技名?を叫び剣を地面に突き刺す。
そこから電気が走り女の子を中心とした蜘蛛の巣のようになる。
みんなは後ろに退避していて俺は一旦ジャンプして避けた。
…とはいえこのまま着地したら確実に食らってしまう。
「死ね!」
女の子はバカみたいに地面から剣を引き抜き空中にいる俺に斬りかかってきた。
「バカだな~…そのまま蜘蛛の巣を張っておけばよかったのに」
「うるさい!」
ギン!ギン!と空中で剣と斧がぶつかり合う。
「三十六計逃げるに如かずってな」
俺は地面に着地すると同時に女の子に背を向けて走り出した。
ん?女に背を向けるとか恥ずかしくないのかって?
全然、プライドとか無いからなんとも思わないけど。
ソレにほら…逃げるが勝ちとか負けるが勝ちって諺があるだろう?
「待ちなさい!」
「待てって言われて待つバカがどこにいる!」
追って来る女の子に対して煽り文句を言いながら更に走るスピードを上げる。
「戦いに背を向けるなんて…!」
「男のクセに逃げるとか…格好悪いと思わないの!?」
なんか別方向から他の女の子達も俺を追って来たんだが。
ナニコレ、なんかのレクリエーションで多人数対一の鬼ごっこでもやってる系?
「格好良いだの格好悪いだの…格好ばかり気にしてたら命がいくらあっても足りんわ!お前らは夢見る乙女か!」
男は格好良くないといけない、とか勝手なイメージを押し付けてんじゃねえ。
格好悪くても成果を上げたり、生き残れればソレで勝ちやわ。
何もできずに格好良く死ぬよりは何十倍もマシってもんだ。
「そこまでよ!」
「止まれ!」
数人の女の子が別ルートで先回りしてたのか俺の前に立ち塞がる。
「なわけあるか」
右に曲がってUターンして後ろに向かって走った。
「あ!?」
まさかUターンするとは思ってもみなかったのか、そのまま後ろから追って来た女の子達の右側を通過して更に逃げる。
「はっはっは、この逃げるのだけは天才的な俺を捕まえようなど10年早い」
笑いながら左に曲がって一旦止まり斧を小箱に入れてから封鎖地域外の一般人が往来する大通りに向かう。
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