04
「あの……あの…!…あの!」
「んあ?」
もう太陽が真上にある時間帯、女の子に体を揺らされて起こされた。
「睡眠中申し訳ありません、村人Bさんですか?」
「あ?ん、そうだけど?」
くあ~…とあくびしながら背筋を伸ばす。
「あたしを助けて下さい!」
「は?まあいいけど」
「…やっぱりこんないきなりは無理ですよ…え?」
女の子は沈んだ顔になったと思ったら急に顔を上げた。
「あの、助けて…くれるんですか?」
「ん、別にいいけど…報酬は君の身体で払ってね?」
「え…それって…!肉体関係を結べって事ですか?」
「ご名答、君を助ける代わりに俺の性奴隷にでもなってもらおうか」
流石にこんな下衆い事を言えば前言撤回してくれるだろ。
顔は可愛いが、面倒な事に進んで関わりたくはないんでな。
「それは…」
「無理なら別の人に頼んだ方がいいよ、俺に頼めば高くつくからさ」
俺の所に来るって事は、おおかたリザリーやマキナに言われたんだろう。
いや、もしかしたら盲点を突いてハルトやショコラかもしれない。
「…でも…」
「どうせ研究所の誰かに紹介されたんだろ?俺からしたら迷惑な話だ…考える時間は10秒な」
10、9……と指折りカウントダウンする。
おそらく…じゃなく、ほぼ確実に昨日の夜見たヴァンパイアと関わってる事案だと思う。
俺のスーパーな直勘もそう告げてるし、今までの経験則と知識からしてもソレに行き着く。
「さあ10秒だ…他の人に頼むか、俺の性奴隷になるか。のどっちかを選べ」
オススメは俺の下から去って他の人に頼む事だな、と笑いながらアドバイスした。
「…他の、人に頼みます」
「うん、それが賢い最良の選択だ」
女の子はクルッと踵を返すと公園の入口の方へ歩いて行く。
にしてもヴァンパイアか…面倒な奴らが進出して来たなぁ。
確率的にはハンターから逃げて来た、が妥当な所だろう。
「んしょっと…」
俺は軽い運動をするために軽くストレッチをしながら考える。
まさか俺を狙って…ってワケじゃないよな?
あいつらは俺の居場所が分かってても島からは出ないと思うし。
でも…俺狙いだとしたら選択肢は二つ…
勧誘or抹殺。
勧誘は魔王軍が解散しない限り無理。って断った。
抹殺は…ってかわざわざ殺すために相手のテリトリーにまで出向くか?
普通に定石通りなら相手が自分のテリトリーに入って来るまで待つよな。
それか何かしらの手段で誘き寄せる。
その方が自分に有利だし、勝算も上がるってもんだ。
「よし」
俺はストレッチを終えて軽い運動を始める。
つー事は…やっぱり追われて逃げて来た、だな。
そんで仲間を心配して追って来たヴァンパイア共が商業大陸に進出ってワケね。
まさかヴァンパイアロードやヴァンパイアキング…ヴァンパイアクイーン達は来てないよな?
あいつらが来てるとして、ほっといたら大変な事になるぞ。
正統なるヴァンパイアの血筋である純度100%のサラブレッド共…更にヴァンパイア貴族でも最上位の存在。
もちろん実力は折り紙付き、だ。
……まああいつらが来てようが来てまいが俺には関係ないけど。
クイーンに会ったら速攻で逃げないとヤバいし。
だってその昔…ヴァンパイアのキングやロードと戦った時にギリっギリの接戦の末、なんとか勝ったもんだから…
ソレを見てたクイーンに捕まり性交を強要された。
子孫を繁栄させるために優秀な遺伝子が欲しいんだと。
私が産む子をより強くするためには貴方の遺伝子が最適だわ!と追い回された記憶が…
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