19
ゴキッ!!と骨の折れる音が響き、手を離すと男は前のめりに倒れる。
この状況で目の前の敵から視線を外すなんてバカにも程があるんだけど。
「は…?」
「バイバイ」
首の骨を折られて倒れた男を見てまた状況が理解できなくなったのか、隣の男が呆然と呟く。
そしてその隙を逃さずにショコラが抜刀一閃横真っ二つに斬り裂いた。
その後にトドメと言わんばかりに上半身を縦真っ二つに斬る。
「なんだコレ」
「あっちでマキナと戦ってるのとレベルが違いすぎ」
およそ10秒ぐらいで決着がついた。
俺らは完全に拍子抜けだ。
あっち側ではギンギン鉄のぶつかる音がしてるというのに。
「つまんない」
「楽だったからいいじゃねえか」
「私はもっとこう…あんな戦いがしたかった!」
ショコラはそう叫んでマキナ達を指差した。
「ふあ~…長いな」
「…もう30分近く経ってる」
「ま、もうそろそろだろ」
マキナ達の戦いを観戦する事30分。
ようやく戦いに終わりが見え始めた。
「にしても…あのマキナにあんだけダメージを与えるとか」
「確実に只者じゃない…けど」
「まだ雷迅武装使ってねぇしな」
いくらあの英雄?が魔剣を使い熟してるとしてもマキナには勝てまい。
だって魔剣の力を借りるのに代償を払ってるんだぜ?
魔剣に認められて無い証拠やわ。
魔剣に認められてれば魔力と引き換えに力を借りられる。
一応ソレも代償と言えなくは無いが…
代償と消費は似て非なるもんでしょ。
「くそっ!これだけは使いたくなかったが…!」
勇者?が苦虫を噛み潰したような顔で呟き剣を握り直す。
「お、なんかやるつもりだ」
「はあ…面白そうだなぁ」
「そういやアレは元気か?」
「え?ああ、ココア?元気だよ」
「ココアって…剣に付ける名じゃねえよ」
「えー?だって可愛いじゃん」
どうやら俺の最高傑作の内の一本は『ココア』と言う名になったらしい。
「俺の今の全魔力と引き換えに敵を倒す力を貸せ!」
『我は対価と等価の力しか貸さぬ』
「…どうやらまだ魔剣の力を発揮させていないみたいだね」
マキナがクスッと微かに笑った。
「…こりゃマズイかもな」
「?どうして?」
「おそらく次の一撃は俺を殺した時と同じ威力かも」
あの時は操られた死神やデモゴルゴンと戦った後でダメージをかなり受けてたとは言え…
それでも俺を一撃で殺せたほどの威力だ。
マトモにやり合えばいくらマキナといえどただでは済まんはず。
「マキナ聞いたー?その男の次の一撃はていとを殺したのと同じだってー」
「え?ホント?…じゃあ気を引き締めないとね」
マキナはさっきとは別の、猛獣が獲物を見つけた時みたいなニヤリとした笑い方をした。
「喰らえ!!」
勇者?の横薙ぎにされた剣をマキナは手でガードするように上げる。
「バカ!避けろ!」
「え?分かった!」
ガードした腕に剣が当たる瞬間、俺の声を聞いたマキナは腕を下げて上半身を大きく仰け反らす。
ブリッジのような格好で英雄?の剣を紙一重で避けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます