12
百合百合な雰囲気から普通の雰囲気に戻り、雑談に花を咲かせる事一時間。
リザリーとの待ち合わせ場所?である第7埠頭に着いた。
「ん~…誰もいないね」
「そだねぇ、今はあまり使われて無さそうだし」
「あまり使われてないって言っても1日1回は必ず船が来るけどな」
「どうせ深夜ぐらいでしょ?しかも3時間ぐらいでまた出港するから…微妙だね」
船がココに停泊してる時間は、船の積荷を倉庫に降ろし…別の倉庫にある荷物を船に積むまで。
だから早い時で一時間しか停泊してない時もあるらしい。
「リザリーは研究所かな?」
「とりあえず待ってみる?」
何もしないで待つのもアレだったので俺は港を適当にブラつく事にした。
「あれ?紙が…置いてある?」
シャッターに3rdと書かれた三番目の倉庫の脇に紙が落ちて…た?
上に石が乗っているため、風で飛ばないためにわざと置いてあるのか、それともどこから転がってきた石が偶然落ちてた紙の上に乗ったのか…どっちなのかが判断しづらい。
とりあえずなんか書いてないか見てみるか。
石を退けて紙を取って開いた。
お、こりゃリザリーの字じゃねえか?
『第7埠頭の北西の森の中に研究所
ソコでは電子機械…漫画とかに出てきそうなロボットを研究中
その研究内容が極秘レポートに酷似してるため潜入調査を開始
もし…ソレがアレならば破壊しなければならない
アレは扱いを間違えれば魔物のみならず人間にも牙を向く
人型機械兵器…これで意味を理解してくれると幸いよ』
…書き方がアレなのは万が一俺ら以外に拾われた時の対策か。
人型機械兵器…十中八九ガン○ムみたいなやつだろう。
「おーいショコラにマキナ、リザリーからのメッセージを発見したぜー」
「え、ホント?」
「ほいよ」
近づいてきたマキナ達に紙を渡す。
「…まさか」
「もしかして、『グランテーゼ』?」
俺は内容が良く分からなかったが、ショコラ達は理解できたのか顔つきが変わった。
「どうした?」
「…ていとの研究がパクられたっぽい」
「まだ確定じゃない…けどリザリーはソレを確かめに行った…?」
「……………あー、そういう事ね」
そう言えば昔、電子工学の本を見ながら人型の機械兵器を作ろうとしたなー。
完全に電気だけで動くやつ。
って言っても基礎理論が完成した時点で飽きたから、中途半端で終わったような気がする。
設計図も作ってたんだっけ?そこらへんは覚えてねぇな。
「どうせあんなん作れないだろ?」
基礎が完成した当時はアレを作るだけの技術力と材料が無かったはず。
ん~…でもこの世界に存在する物でソレを応用できる材料を探したような気もするけど…
応用した材料では本来の材料よりも出力が70%ぐらい劣るんじゃなかったっけ?
とりあえず、アレを完成させるにはこの世界の材料じゃ無理だって。
…魔界の材料があれば作れるけども。
「作れない事は無いんだよ?」
「他の資料と違って誰にでも解りやすく書いてあるし」
「でも…もしあの設計書通りの演算機能じゃないと96%の確率で暴走するって注意書きが…」
演算機能…?中に人が入って動かせばいいんじゃね?
俺が不思議そうな顔をするとマキナがため息を吐いた。
「多分程人君の事だからマニュアルで動かせばいいと思ってるんだろうけど…ソレが難しいんだよ」
「そう簡単には操縦技術は身につかない…と言うかどうやって操縦するの?」
……あ、そうか。
そうだよな…考えた俺でさえ操縦技術の問題にぶつかってソレを打破出来なかったんだ。
だからオートで動かす方法を考えたんだっけ。
まあそこらへんの研究者ごときがどうこうできる問題じゃねえよな。
「分かった?多分オーバーテクノロジーってやつじゃないかな」
今の人類の科学技術じゃ扱えきれないシロモノ…
だが、たった今思いついちまった。
その問題を打破できる解決策を。
昔の俺なら絶対に考えつかなかったであろう解決策。
雷魔術もしくは魔札で操れば出来んじゃね?…と。
それならレバーとかスイッチとかペダルとかの必要が無くなる。
それらを扱う複雑さゆえの操縦技術も要らない。
まあ雷魔術で操縦するにも少しは技量が必要だが、レバーを使う操縦技術よりはハードルがガクンと下がった。
例えれば6mの棒が1mぐらいまで。
「…!すご…い!」
「目から鱗だよ…!」
解決策をマキナ達に話すとかなり驚かれた。
…ぶっちゃけると、ロボットに乗って操縦しても俺らには勝てないんじゃねえか?
マキナが二重の身体強化をしたら一発殴っただけで壊れそうだし。
エルーやショコラも機械ぐらいなら剣でぶった斬りそう。
リザリーはそのまま魔術で乗っ取るかショートさせる事も出来る。
俺も機械兵器ふぜいに負ける気なんてこれっぽっちも無い。
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