第八期

1



「そうです!我らが邪神様!」



バッと邪神信仰団の面々が魔王の前で傅く。



「あれが邪神だと…?」


「見た目はどう見ても人間にしか見えないけど…」




ギルド側の人間は魔王を見て訝しげな表情になる。



「して、ココはどこだ?」



場所を確認しようとキョロキョロと辺りを見渡す。



「ぬ、貴様は…」



見渡してる時に俺が視界に入ったのか二度見するように視線を定めた。



「おひさー、ってか俺の事覚えてんの?」


「?知り合い…?」


「まさか…!愛人…!?」


「こんな美女を丸め込んだのか!?」



ジト目で見るマキナに、信じられない…!といった目で見るリザリー、ただ驚愕してるエルー。



…なんだこいつら、なんでそんな発想しか出てこねえんだよ。



「違ぇよ…マキナ、手を離せ、リザリー、鞭を向けるな」



俺は鞭を向けるリザリーとガシッと腕を掴んでいるマキナを宥める。



「じゃあなんなの?」


「我らがお仕えする魔王様だよ」


「「「魔王!!?」」」



俺のため息混じりの言葉に三人は驚愕して叫び、魔王をガン見した。



「いかにも、今は妾が魔王の座に即いておる」


「これが…」


「魔物の王…?」


「確かに威厳はあるわね…でも…」



マキナ達は魔王の言葉を聞いて上から下まで眺めた。



「こやつらはなんだ?お主の非常食か?」


「いやいや、昔の友達だよ」


「ふむ、お主がまだ人間だった頃のか…で、食べるのか?」



まるで牛や豚と言った食料を見るような目でエルー達を見る。



「食べねぇよ、生の肉はどうにも苦手なんでな」


「んん?ならば料理すればよかろう、ソレらを城の料理長に渡して頼めばいいのではないか?」


「確かにあの人は人間も料理できるし、俺も教えて貰ったから料理できるけど…流石に友達は食えんよ」



つい…とリザリー達を顎で示す魔王に俺は首を横に振った。



「…何を言ってるか理解できないけど、質問してもいいかしら?」


「なんだ?」


「魔王って女なの?」



ずっと疑問に思ってたのか心底不思議そうに聞いてくる。



「答えはノーだ、今は女の姿をしてるが…自由に姿形を変えられるため性別不明」



この前勇者だか英雄だかに倒されそうになった時は異形の姿だったしな。



デカイ体躯に捻れた角や鋭い牙、更には翼を4つ生やしていた。



「性別不明…」


「妾はその気になれば自分で孕む事もでき、異種族を孕ます事も出来る」


「まあ早い話が両性類だな」



男とかオスの時は相手を、女やメスの場合は自分が。



繁殖っつーか子孫を作るのには事欠かかないらしい。



「ってかさ、今更だけどなんで魔王がこんな所にいるわけ?」


「妾は喚ばれたから暇つぶしに来ただけだ」


「…マジかよ」



邪神を呼び出す儀式がどこでどう間違えたのか、はたまたかなりの偶然が重なりあった奇跡なのか…




魔界に居る魔王を召喚しちゃったわけね。



確かに人間からしたら邪神っちゃあ邪神だけども。

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