12

「最初はわたし!」



三人の中でいつも元気な方が最初に相手をするらしい。



名前は……だめだ、思い出せない。



確か、一番最初に拾った子なんだよ…



名前はー……名前……名前ー…ダメだ、思い出せない…まあ後で思い出すだろ。



「おとーさん行くよ!」


「いつでも来い」



うーん…と腕を組んで首を捻ってると下の子の戦闘準備が完了したようだ。



「えい!」



歳に合わない速さで俺との距離を詰めて左脚で蹴りを放ってきた。



「おっ」



俺はそれを右手で掴んで受け止める。



「中々良い蹴りだな」


「まだまだ!」



下の子は右足で軽く跳んで俺の顎を狙って蹴りを放つ。



「ふむ」



俺は左手でそれを掴んで受け止めた。



「動きは素晴らしいが、やっぱり筋力不足感は否めないな…こればっかりは仕方ないけど」


「えい!」



両足を掴まれてなお、腹筋運動で上半身を上げて俺の顔面を殴ろうとする。



「おっと…」



上半身を逸らしてソレも避けた。



「中々良いコンボだ」


「むー!」



下の子がむくれた顔を見せたため上半身を戻して両手を離す。



「そろそろ俺も攻撃しようかな?」


「え!?」


「殴る蹴るはしないよ…投げるだけ」



下の子は俺の言葉にびっくりして一瞬身体が硬直した。



その隙を逃さずに速攻で懐に入り胸ぐらを掴む。



そして素早く足を払い優しく背負い投げをする。



トス…っと軽い音がして下の子は地面に背中を付けた。



「え?え?なにが起きたの?」



下の子は仰向けで転がったまま今の状況が把握できてない、不思議そうな顔をする。



「…ナノの負け」


「頭から落とされてたら気絶だね」



周りで見てた下の子二人が倒れてる子に近づいた。



「…次はわたし」



二戦目は下の子の内の無口?クール?な子だった。


























下の子達との手合わせは結局三人共似たような結果だったので省くとしよう。




昼までで一人あたり5戦ぐらいかな?



当然全勝、今回は楽だった。



まだまだ未発達なあの子達の攻撃は急所以外に食らっても対したダメージにはならない。



下の子達の体術で驚異的なのはトリッキーな打撃と関節技ぐらいか。



フェイントも織り交ぜつつ、隙あらば関節技で効果的なダメージを与える。



おそらく力が無い分、それを補うような戦い方をメイド達と一緒に編み出したんだろう。



「くあ~…ヤバイぐらい眠いぜ…」



昼飯を食べ終わり、皿洗いを手伝ってるとアクビしか出てこない。



疲れが溜まってる上に休めてないんだから当然か。



まあ気が緩んでる…抜けてる?からだけど。



戦場だったら4、5日は不眠不休でもイケる。



…長時間寝れるなんて平和だからこそ、できる幸せな事だよなぁ。



「そろそろお休みになられてはどうですか?」


「そうする…お休み」


「ナノちゃん達も…たまにはお昼寝してみたら?」



客間に向かって歩いてると後ろから下の子達が駆け寄って来た。



「ごめん、午後は寝かせてくれ…」


「うん、私達も一緒に寝るー」


「…みんなでお昼寝」


「体を休める事もじゅーよーなトレーニングなんだって」



じゅーよー?…ああ、重要ね。



結局、下の子達と一緒に寝ることに。



ベッドはダブルぐらいだから広さはあるけどさ。




















































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