07

「さて、お前はどうする?」



俺はライナと交換した無名を抜いて餓鬼に近づく。



「う、うわあ!く、くるなぁ!」


「これに懲りたら女の子に対する考え方を変えるんだな」


「と、父様に言ってやる!は、はは…これでお前らは終わりだ」


「…立場を分かってねぇようだな」



俺は無名を餓鬼の首をあてがう。



「今、お前の生死は俺の気分次第なんだよ…命乞いするのを忘れてるぜ?」



剣をほんの少しズラすと、つう…と首から血が出る。



「…ひっ!た、助けて下さい…!もう…手出しはしないから命だけは!」


「最初からそういう態度とれや」



あと1mmで頚動脈を斬るギリギリで餓鬼は膝をついて頭を下げた。



「お願いします…!命だけは…!」



俺はワザと剣を振り上げ、剣についた血を払うために大げさに振る。



目の前の餓鬼はそれに死の恐怖を感じたのか、失禁した。



「はっ、無様だな…今逃げるんなら見逃してやるからさっさと失せろ」


「う、うわあぁぁ!」



俺が剣を納めると餓鬼は叫び声をあげながら逃げて行った。



…この敵兵はどうしようかなー?



ライナが倒したのはただ気絶してるだけっぽいし。



とりあえず死んでるのは魔王城の保管庫(特製)に影移動させて、生きてるのは起こしてから撤退させるかな。



俺は敵兵の血を舐めて先に明らかに死んでる奴らを移動させる。



その後に、生きてるのか死んでるのか分からん奴はトドメ?を刺して影移動させた。



はぁ…体力の消費を抑えたから1時間ぐらいかかったぜ。



倒れてた敵兵の中で生きてたのは198名。



約1/5も生き残っていた。



その半数は女性兵。



ライナの奴…男も生き残らせてたんかい。



あいつ、俺よりも甘いなー。



「起きろ」



俺は未だに気絶している敵兵を蹴る。



あ、もちろん男の方だよ?女だったら揺すって起こすし。



「「う…」」



めんどくさくなってきたので、別の敵兵(男)を蹴り飛ばして他の敵兵にぶつけた。



「さっさと起きろや、こっちは眠ぃんだよ」


「う…なにが…?」



ドカドカ蹴り飛ばしている内に最初に蹴った奴がようやく目を覚ます。



「やっと起きたかクズが」


「お前は!」



倒れた敵兵(男)を蹴飛ばしてる俺を見て、直ぐに現状を察したらしい。



バッと距離を取って剣を抜く。



「さっさとこの邪魔な兵達を担いで撤退しろ」


「なに…?」


「お前らが生きてるのは、あの薄黄色の髪の奴のおかげだ…感謝しとけ」



俺は臨戦態勢の敵兵を無視して倒れてる奴らを次々と蹴り飛ばす。








…ココで『遠間さんの魔力持ちについての補足講座』を行おー。



ワー、パチパチパチパチー。(棒)



この世界の人間は魔力持ちか否かの二択に分かれてるのは説明したと思うけど…



実は、魔力持ちの人間は髪の色が一般人とは違う。



エルーシャとマキナは茶色

リザリーは原色じゃない赤

ショコラは薄水色

ライナとサマハルトは薄黄色

エリアは薄い緑

クレインは薄い赤茶(ほぼ茶色)



みたいな感じだ。



魔力の無い一般人はほとんど黒。



とは言え世界各国いろんな人種がいるから、髪の色も様々だ。



まあ生まれつきで赤や青や黄色は魔力持ちじゃない限り無いけど。



金髪と茶色が一番わかりにくいかな?魔力持ちでブロンドや茶色の髪は極めて稀だけど。



因みに、属性で髪の色が変わるとかは無い。



そして染髪も、限られた3色以外は世界の法律で禁止されている。



その3種類は金、茶、黒。



それ以外の染色剤は作る事も禁止、違法だ。



んで、俺の場合…今は真っ黒。



だけど血を舐めて能力を使えるようにすると地味に黒茶色になっていく。



見た目は黒だけど、太陽とかの強い光に当たると微妙に茶色に見えるらしい。



俺は鏡見ても分からなかったけど。



そういや、艶やかな黒って凄く惹かれると思わない?



あ、俺の髪の色は本当にただの真っ黒なだけね。



烏の濡れ羽色とか…クールビューティってか、大和撫子みたいだよね。



俺、そういう艶やかで色みがかった黒にすっげえ惹かれるってば。



…まあそういう髪をしてる人間は異国だけにしか居ないんだよねー。



…え?髪フェチ?…い、いや普通だろ。



普通だよ、うん。髪を撫でたいとか匂いを嗅ぎたいとか普通でしょ!



…そうこうしてる間に蹴っていた敵兵(男)の半数が目を覚ました。

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