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女の子に着いて行くとさっき俺がチェックインした部屋に入る。



「キリ!大丈夫!?」


「大…丈夫…!」



部屋の中では包帯を巻いた少年とキリが取っ組み合っていた。



それを見た俺は走って少年のわき腹を思いっきり蹴飛ばす。



「ギャふ!!」


「てめえ、人の娘になにしてんだよ」


「おとーさん止めて!シュイは…!」


「分かってるよ、取り憑かれてるって言うんだろ」



あの少年から黒いモヤが見える…雑な取り憑き方しやがって。



特級の最上位や将軍クラスの悪魔ならもっと上手く取り憑くぞ。



あいつらが取り憑くと分かり辛いんだよなー。



「じゃあなんで蹴ったの!?」


「ああいうのはある程度ダメージを与えれば出てくるんだよ」


「うそだ!専門家でも無いのに分かるわけない!」


「確かに専門ではないが…全く分からない、というわけでもないぞ」



俺は食ってかかるキリの服を掴んで後ろに投げる。



と同時に少年が飛びかかって来た。



「めんどくさ…」



俺は少年の両手を掴む。



「ヴヴあー!!」


「暴れんなっての」



急に暴れだした少年の腹を蹴るとモヤが更に広がった。



…そろそろだな。



俺は少年の両手から手を離して頭を掴み、引き寄せて耳元で念仏を唱える。



「ヴガぁ!!」



少年が吠えると黒いモヤが完全に離れた。



「キキ貴様…なな何者…?」


「キリ、少年を頼む」


「え?うわっ!」



俺は少年をキリに投げて目の前の悪魔を見る。



…警戒して損した…こいつも強くて中級ってとこかよ。



チッ、あの少年が弱ってたから取り憑けたわけか。



「ここ殺ス!」


「お前には無理だ」


「げブぅ!?」



飛びかかってきた悪魔を後ろ回し蹴りでふっ飛ばした。



実体化してないから今のこの剣では斬れないんだよねぇ…



あー、めんどくさい。



「うそ…悪魔を、蹴り飛ばした…?」


「ヴヴ…!きき貴様!」


「さっさと昇天しろよ」



立ち上がった悪魔に殴る蹴るなどの暴行を加える俺。



「ヴああ!!シネぇ!」


「あ!」


「え!?」



悪魔はなりふり構わず俺から逃げて女の子に取り憑こうとした。



「えーい!」


「ナイスだキリ!」



キリが棒切れで悪魔を殴り女の子から引き離す。



「トドメじゃあ…ヘブンズハグ」


「ギぃやアア!!」



俺は嫌々ながらも仕方なく悪魔に抱きつく。



悪魔は断末魔を上げながら煙になって消えていなくなる。



「え!?悪魔が消えた!?」


「昇天したんだよ」


「悪魔を昇天させた…?キリのお父さんって何者なの…?」


「さあ?私にも分からないよ…」



女の子とキリがビックリしながらボソボソと会話していた。



「まーた少年の怪我が増えたな…もう病院に連れて行った方がいいんじゃね?」


「それはそうですが…その、少し事情があって…」


「じゃあ闇医者に診せるか?知ってるのは隣街にしかいないから来るのに時間かかると思うけど」


「「闇医者?」」



キリと女の子がハモって聞いてきた。



え?こいつら闇医者の存在を知らないの…?



あ、そっか…キリ達が大怪我してもメイド達が治癒してたから、病院とかにすら行った事ないんだよな。



「公にはできない裏社会で働いてる人の怪我を診てくれる仕事だよ」


「おおやけ?」


「表向きって意味だよ、分かりやすく言えばワケあり専門の医者って事だ」



あいつは治癒魔術を使えるわけではないが、腕はかなり良い。



名医と言っても過言じゃないぐらいに。



だけど、目立ちたくないから…と言う理由で闇医者になったらしい。



それに儲かるって言ってたな。

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